今平周吾(29=ダイヤ)が逆転で今季初勝利、ツアー通算6勝目を挙げた。首位に1打差の5位から出て3バーディー、1ボギーの68。通算8アンダー、272で桂川有人の今季2勝目を止めた。国内屈指の難コースで唯一4日間アンダーパーの安定したゴルフで復活。全英オープン出場権も獲得した。

   ◇   ◇   ◇

ドライな男の執念が終盤のグリップに表れていた。「曲げたくないときに短く握る」と最終18番に近づくほどに短くなり、着実にフェアウエーを刻んだ。「バーディーを取りに行くというよりボギーを打たないゴルフをしていれば必ずチャンスがくる」と堅実なゴルフを積み上げ、気付くと首位に立っていた。

「うれしいですね。上がってみたら桂川が17番でボギー。プレーオフになるか優勝するか。回りを見ている余裕もなくラウンドしていた」と昨年9月のフジサンケイ・クラシック以来の優勝をかみしめた。

18年、19年と連続賞金王を獲得したが、20年、21年が統合されたシーズンは優勝が1回だけ。飛距離アップのための筋力トレーニングで筋肉をつけすぎて失敗し、なかなか思うようなゴルフができなかった。

飛距離重視をあきらめ「負荷を強くしない」トレーニングで以前の感覚を取り戻した。今季もなかなか結果が出ず、中日クラウンズ終了後に胃腸炎にもなった。38度の高熱や7度の嘔吐(おうと)。コロナ感染を疑い病院にも行った。練習再開は今大会の週。体重が2、3キロ減り「体調は戻ったが、おなかはゆるゆる」の状態で試合に出ていた。

それでも、今年に入りアイアンをヤマハ製の新製品に替え「自分の中でコントロールできるようになってきた」と手応えをつかんでいた。そのアイアンでバーディーチャンスを多くつくり、唯一の4日間アンダーパーにつなげた。

今大会の優勝で、念願だったメジャーの全英オープン出場権を獲得した。コロナや不振で世界ランクを下げ「2、3年前には常に出られた大会になぜ出られないのか」と悔しさがつのった。「今回は賞金王よりメジャー出場が目標の1番」と強い思いで出場権も勝ち取った。今年10月に30歳になる。「この優勝で気持ちを落とさず、2勝、3勝と続けていきたい」。ここから上昇気流に乗っていく。【桝田朗】