今年から米女子ツアーに参戦している古江彩佳(22=富士通)が、決勝でメジャー1勝を含むツアー通算5勝のベテラン、チ・ウンヒ(36=韓国)に3アンド2で敗れ米女子ツアー初優勝はならなかった。

午前の準決勝でリリア・ブ(米国)を2アンド1で破り決勝進出を決めた古江は、約1時間後にスタートしたチとの決勝に臨んだ。ともに1番パー、2番ボギーのタイで迎えた3番パー4で古江がダブルボギーをたたき1ダウン。続く4番パー5ではチがボギーでパーとした古江がタイに戻した。7番パー5では、チがボギーをたたき古江が1アップとリードを奪ったが、続く8番パー3ではチがバーディーを奪い、再びタイに。9番パー5はチがイーグルに対し、古江はバーディー。前半はチが3ホール、古江が2ホールを取って、古江の1ダウン。

後半の10番パー4でも古江がボギーをたたき2ダウン。続く11番でバーディーを奪い、1ダウンと反撃も12番では再びボギーで2ダウンとなった。13番、14番、15番とともにパーと差は縮まらなかった。迎えた16番パー5でボギーをたたき、2ホールを残し3ダウンとなり敗戦が決まった。

終了後公式会見に臨んだ古江は「風がとても強く、頭をたくさん使わなければいけなかった。肉体的だけでなく、精神的にも疲れました。でも、最後の決勝まで進んだことは、私にとって特別なこと。1週間を通して楽しんで、新しいプレーヤーと対戦し、マッチプレーを体験したことは、私にとって本当に特別なことでした」と話した。

古江は米女子ツアーのQスクール(予選会)を勝ち抜いて今季から参戦。前週までの9試合で1度も予選落ちがなく、着実にポイントを獲得。ツアー出場のシード権を決めるCMEポイントで45位につけ後半戦のツアー全戦出場を確実にしていた。それでもトップ10に1度も入ることができず、プロになる前、ナショナルチームでの戦いで何度も経験しているマッチプレーで上位進出、あわよくば優勝をひそかにねらっていた。

予選ラウンドでは、飛距離では劣る相手にしぶとく後半で競り勝ち2勝1分けでトップ通過。決勝トーナメント1回戦、準々決勝、準決勝と快進撃が続いたが、最後に力尽きた。それでも持ち味のボギーを打たないゴルフで難敵を次々に破っての2位は大きな収穫。世界で戦えることを証明し日本人13人目の米女子ツアー優勝も目前まできている。

◆マッチプレー ゴルフ競技にはストロークプレーとマッチプレーがある。米国プロゴルフ協会は1916年の創設からマッチプレーで試合を行っていたが、57年からストロークプレーに切り替わった。今回のバンクオブホープ・マッチプレー大会が女子ツアー唯一の大会。競技方法は各ホールでスコアのいい方が勝ちとなり、勝者の1アップ、敗者の1ダウンという言い方をする。引き分けはAS(オールスクエア)。18ホールで決着がつかない場合はサドンデスの延長(プレーオフ)が行われる。日本では男子で日本プロマッチプレーが国内メジャーとして行われていたが、03年を最後に消滅。今季は男女ともマッチプレーの大会はない。必ずしも人気選手が勝つと限らないためスポンサー離れが原因と言われた。世界の舞台で日本人がマッチプレーに勝ったのは、78年のワールドゴルフ・マッチプレー(英国)で優勝した青木功がいる。

◆古江彩佳(ふるえ・あやか)2000年(平12)5月27日、兵庫県生まれ。3歳でゴルフを始める。高校ゴルフの名門、兵庫・滝川二高に進学し、17年全日本大学・高校ゴルフ選手権優勝など多くのタイトルを獲得。コロナ禍で20年と21年が統合された昨季は、日本ツアーで6勝を挙げて賞金ランク2位。今季の米ツアー出場権を懸けた昨年12月の最終予選会では8日間、上位を守って7位通過。今季が米ツアー本格参戦1年目。持ち味は巧みな小技とブレないショット。同学年のゴルフ仲間からの呼び名は「えってぃー」。153センチ。