ツアー史上6番目となる「18歳361日」での年少初優勝へ、尾関彩美悠(あみゆ、フリー)が首位と3打差2位に浮上した。6打差14位から出て、5バーディー、ボギーなしのこの日のベストスコア67で通算9アンダーとした。勝てば、主催者推薦選考会の通過者では初。西郷真央ら新世紀世代(01年度生まれ)より若い新星がチャージをかける。

    ◇    ◇    ◇

時折小雨がぱらつくコースで、尾関がスコアを伸ばした。5つのバーディーのうち、序盤3番で沈めた5メートルが最も長い。6番は4メートル、7番は1メートル。10番は114ヤードをピッチングウエッジでわずか10センチにつけ、12番パー5は60ヤードを58度で1・5メートルへ。全部、ショットで作ったチャンスで、ラッキーは1度もない。

「ノーボギーだったのがすごく大きかったです」。16日に19歳の誕生日を迎える少女は、ただただうれしそうだった。

昨年6月に日本女子アマを制し、11月のプロテストをトップ合格。文句なしのキャリアを持つが、不思議なほどギラギラ感がない。「優勝、優勝というのはほんとに考えてなくて。1年目からそんなうまくいくことないですよ」。QT58位で出場する今季の目標は「来年のシード奪取」。7月10日最終日のニッポンハム・レディース後のリランキング(ツアー出場優先順位を決めるリシャッフル)までに、同35位をさらに上げたい。それだけだ。

女優小芝風花似のルックスで、小祝さくらのような癒やし感。渋野日向子の母校でもある岡山県作陽高時代、友だちによく「何も考えてなさそう」とからかわれた。たまに「私も考えてるよ!」とムキになったが「確かに何も考えてない時もあって…」と笑った。

それでも、勝てたらうれしい。3日終了で12位だった下部ツアー・ECCレディースで国内最年少プロ桜井心那(ここな、18=フリー)の優勝を見届けて「同学年で、自分のことみたいにうれしくて。鳥肌が立ちました」と感激した。

少しだけ欲もある。昨年11月のプロテストを1位通過し高校3年でプロになった。「一番思うのは、同期で最初に優勝したいなってことです」-。初の最終日最終組は、36歳でツアー5勝の藤田、昨季の絶対女王・稲見と同組だ。「アンダーで回れたらいいな」。優勝、2位でAIG全英女子オープン出場権もかかる1日を人ごとのように楽しんでみる。

◆尾関彩美悠(おぜき・あみゆ)2003年(平15)6月16日、岡山県倉敷市生まれ。ゴルフは7歳から。岡山県作陽高2年の20年にナショナルチーム入り、昨年6月日本女子アマ優勝、同年11月の21年度プロテストでトップ合格。今季はQT58位でツアー出場。158センチ、50キロ。趣味は寝ること。師匠は祖父尾関惇美と父美成。