松山英樹(30=LEXUS)がトップに猛追したが、メジャー2勝目はお預けとなった。首位に6打差の17位で出て5バーディー、ボギーなし。今大会の1ラウンド最少スコアとなる65で回り、通算3アンダー、277で首位に3打差の4位に入った。マシュー・フィッツパトリック(英国)が通算6アンダーで、米ツアー初勝利をメジャー大会で飾った。世界ランク1位のスコッティ・シェフラーとウィル・ザラトリス(ともに米国)が1打差の2位だった。

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松山は首位に2打差まで縮めてホールアウト。後続の結果を待ったが、優勝にはあと1歩、届かなかった。「こういういいプレーができるということは、もう少し初日からいいプレーができれば、まだプレーしていた。そこが今後の課題と思います」。

前日はノーバーディーと思えない猛チャージだった。6番パー3で、ティーショットをピン左約50センチにピタリとつけるスーパーショット。30ホールぶりにバーディーを奪い「僕も数えてました」と笑った。7番パー4も第2打をピン右手前約4メートルにつけ、2連続バーディーとした。

11番パー3で約2・5メートルと微妙な距離のパーパットを沈めた直後の12番パー4。8メートルのバーディーパットを決めると右手でガッツポーズした。13番パー4では約12メートルを沈めて2連続バーディー。笑顔ものぞかせた。「11、12、13番といいパットが入ってくれたのですごく大きかった」。16番パー3でもピン左6メートルを沈めてバーディーを取った。

パットがさえ渡った。この日のパットのスコアへの貢献度を示す「ストローク・ゲインド・パッティング」は全体1位。「昨日までまったく入っていなかったので、びっくりしますよね」と振り返った。

大会ベストスコア65の要因について「パッティングが入ってくれたのがすごく良かったし、ショットも大きなミスをすることなく、グリーンもしっかり捉えることができたのが良かった」と分析。「ショットも完璧かと言われるとそうでもなかった」としながらも「その中でスコアを出せたことはすごく自信にもなる」と手応えを口にした。

21年マスターズ優勝が今日のプレーにどうつながっているか問われると「それはもう過去の話」ときっぱり言った。「そこはあまり考えず、本当にいいプレーをすることだけを考えてプレーしている。また次に勝てるように頑張りたい」。

次のメジャーは聖地セント・アンドルーズで行われる全英オープン(7月14日開幕)。今大会で得た自信は、次戦メジャーに向けて間違いなく弾みをつけた。

○…松山と全英の相性は良くない。過去出場7回でトップ10は初出場だった13年大会の6位だけ。16、18、19年大会は予選落ち。優勝したマスターズ、予選落ちのない全米プロ、今回でトップ10が3回目の全米オープンに比べ、メジャーで最も結果が残っていない。また昨年大会は直前に新型コロナウイルスの陽性判定が出て、体調不良で欠場した。

ただコースがセントアンドルーズとなれば話は別だ。同コース開催だった15年は最終的に18位に終わったものの、4日間でオーバーパーのラウンドはなし。最終日は10番終了時、首位と1打差に詰め寄るチャージを見せた。リンクス、予測不能な天気と“自然”が相手になるが、メジャー2勝目に期待が高まる。

○…フィッツパトリックは優勝会見で「信じられない。子供のころから夢見てきたことを達成した。明日引退してもハッピーだ」と笑顔を見せた。米ツアーは未勝利だったが、DPワールドツアー(欧州ツアー)では7勝。今大会のコースで行われた13年全米アマで優勝した。メジャー次戦の全英オープンに向けて「セント・アンドルーズは大好きなコース。素晴らしいコースだし、距離を考えると、とてもおもしろい戦いになる。今や僕は飛ばし屋だからね。全部グリーンに届くかもしれない。とても楽しみ」と意気込んだ。