プロ8年目の木村彩子(26=富山常備薬)が6打差大逆転でツアー初勝利を挙げた。首位に6打差の9位で出て4バーディー、1ボギーの69で回り、通算4アンダー、284。優勝賞金5400万円は同じ週に開催された男子ツアーの賞金総額を超える、国内女子ツアー最高額。車好きだけに、「2700万円」のBMW購入を検討。ビッグな夢の膨らむ、記念の1勝となった。

単独首位で出たささきしょうこと、2週連続Vを目指した西村優菜が1打差の2位だった。

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木村はプレーオフに備え、練習していた。2位とは1打差。最終組のささきがパー。優勝が決まると、「キャー」と絶叫。涙があふれ出た。6打差9位からの大逆転V。会見では「まだ夢みたい。優勝できると思わなかったのでうれしい」と笑顔を見せた。

15番グリーン脇のボードで首位に立ったことを確認。「(16番へ)ゴンドラで移動中、シャインマスカットを食べたら吐きそうになって、緊張していると思った」。キャディーを務めた1つ年上のプロゴルファー、坂口悠菜の存在が大きかった。「面白いことを言ってくれたり、声を掛けてくれた。一緒に優勝できてうれしかった」。キャディーが注目を浴びた大会で、真の二人三脚とは何かも、結果で示した。

前夜、南秀樹コーチや坂口と作戦会議した。強風対策でショットは低い球で、など入念に確認。この日のフェアウエーキープ率は85・71%で1位。4日間でも78・57%で堂々の1位。安定感抜群だった。強風を制しての優勝。背景には練習環境がある。南コーチは香川県在住。木村は同県内のマンションに一室借り、千葉県から単身拠点を移した。「練習コースは海に面していて風も強い。そこで風の練習をしています」。

大好きな車がモチベーションだ。愛車は高級車マセラティのSUV、レヴァンテの最上級モデル、トロフェオ(約2200万円)。父東吾さんによると、特に重低音のエンジン音が好き。坂口も「車のことを教えてくれるけど、半分くらい言っていることが分からない」と苦笑いするほどマニアだ。破格の優勝賞金5400万円の使い道は「買いたいのはBMWのM8。約2700万円。考え中です。コーチから『優勝したらそのままBMW(のディーラー)に行け』と。このまま行きたいです。明日行っているかもしれないです」と照れ笑いした。

「流れを大切に、今季最低あと1勝はしたい」と意気込む。「将来的な目標はたくさん勝てて、息が長い選手。(150センチの)西村優菜ちゃんとともに、小さくて飛距離が出ない選手も勝てることを証明していきたい」。155センチと小柄な木村の夢は大きく広がる。【近藤由美子】

 

◆木村彩子(きむら・あやこ)1995年(平7)11月2日、大阪府枚方市生まれ。千葉・聖徳大附属女子高卒。10歳からゴルフを始める。19歳だった15年7月にプロテスト合格。21年10月のスタンレー・レディースで渋野日向子、ペ・ソンウ、佐藤心結とともにプレーオフに進出したが、渋野が優勝した。趣味はEXILEのライブ鑑賞。155センチ、50キロ。血液型O。

○…木村の両親も会場で見届けた。父東吾さんは「やっと優勝できてホッとしています」。木村は1人っ子。母美保さんによると、車好きは東吾さんの影響だという。若者の車離れが叫ばれる中、賞金での高級車ゲットには、プロだからこその夢が詰まっている。東吾さんによると、家族で食事をしても美保さんが「おもしろくない」と言うほど、父娘で車の話ばかり。木村は「上を目指したい。賞金女王になりたい。どんな車を買っても、誰も何も言わないから」と話していたという。

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