田仁智(チョン・インジ、27=韓国)が、涙の復活優勝を飾った。

2位と3打差の首位から出て2バーディー、5ボギー。2日連続の75と3つ落としたが、通算5アンダー、283で逃げ切った。予選ラウンド2日間で、後続を引き離す11アンダーまで伸ばしていた貯金を生かし、第1ラウンドから首位を守る完全優勝。4シーズンぶりとなる米ツアー通算4勝目、メジャー3勝目を挙げた。

最終18番パー4、1メートル足らずのパーパットを決めると、右手を握り締めながら何度も揺らし、カップから右手で拾い上げたボールを高々と掲げ、大歓声に笑顔で応えた。ただ、直後には涙を流してキャディーと抱き合っていた。「前半はものすごいプレッシャーで、全くプレーをエンジョイできなかった。でもバックナインでチャンスがあると信じた。だから勝てたことが本当にうれしい。まだ体が震えているくらい」と、再び笑顔を見せて振り返った。

前半9ホールは、バーディーなし、4ボギーの40と、4つもスコアを落とした。2位から出た同組のレクシー・トンプソン(米国)に逆転され、2打追う展開で折り返していた。それでも粘って後半は2バーディー、1ボギーと1つ伸ばし、終盤に崩れたトンプソンに16番で追いつき、17番で再逆転した。

「簡単には勝てないだろうと思っていた。レクシーは素晴らしいプレーで追い上げてきた。でも私も、18番はすごいプレッシャーの中、良いプレーができた。(ウイニング)パットを打つ前には、自分に『何度もパットを決めてきた。できる』と言い聞かせて打った。レクシーも『おめでとう』と言ってくれた」と、かみしめながら話した。

田は15年に日本女子ツアーでワールド・サロンパス・カップ、日本女子オープンと国内メジャー2冠に輝くなど、日本のゴルフファンにもなじみの深い選手だ。同年には全米女子オープンも制するなど、世界トップレベルのプレーを日本ツアーでも披露していた。昨季日本女子ツアーの賞金ランキングで4位の西村優菜が、憧れの選手として名を挙げるなど、日本人選手にも大きな影響を与える存在だ。