東北福祉大3年の岡田晃平(20)が2打差逆転優勝を飾った。首位と2打差2位から日大主将の古川龍之介、大学の先輩・蝉川泰果と同じ最終組で回り、7バーディー、2ボギーの67。最終18番のバーディーで通算15アンダー、273とし、混戦を制した。同じ明徳義塾高-東北福祉大と進んだ松山英樹も手にできなかったアマチュア日本一のタイトルを手にした。

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4日間の72ホール目の最終18番は、猛暑と緊張でラインが読めなかった。大学同期の中島凜キャディーと相談。2カップ切れるフックラインと信じ、岡田が4メートルのバーディーパットを決めた。両手を掲げ、グリーンを出ると大学の仲間が群がりウオーターシャワーを浴びせてきた。

「まだ実感がわかないです」。表彰式、ドーピングチェック、写真撮影も終え、ホールアウトから約2時間たってもピンと来なかった。

真夏の激闘だった。2打差を追い、日大主将の古川、下部ツアー優勝者で大学の先輩、蝉川と同じ最終組。「ガツガツ行こう。追いつき、追い越そう」。8番で3個目のバーディーとなるチップインを決め、首位古川をとらえた。第1打を右林に打ち込んだ9番パー4は、7メートルをねじ込むスーパーセーブ。「15番までは、本当にプラン通りだったんです」と言う。

2打差リードの首位で迎えた15番パー5。フェアウエーからフロントエッジまで275ヤードの第2打を、3番ウッドで左にOBした。

「文句なしのライでした。距離もちょうど。“右からの風に乗せて”と思っていたら、厚く入って…。打った瞬間、100%ダメと思った」

ボギーで古川と1打差、蝉川と2打差になった。17番は難しいピン位置に“負けて”ボギー。古川と同スコアで迎えた最終18番パー4。ドライバー、3W、ユーティリティーの3択で悩んだ第1打に、ドライバーを選んだ。「とにかくしっかり振り切ろう」-。土壇場に開き直り、腹を決め、最高のバーディーで締めくくった。

高知の明徳義塾高を卒業し、大学の寮に入った20年3月のある日。初めて松山英樹と会った。高校、大学が同じ。別室に呼び出され、あいさつしたが、話した内容は「全然覚えてません」という。ただ分厚い体、漂うオーラに「ああPGAツアーの人なんだ」と圧倒された。

前日夜、大学の阿部靖彦監督に「明徳出身で誰も優勝してない日本アマをとってこい!」とハッパをかけられたという。四国出身者でも16年大会、徳島生まれの亀代順哉以来2人目の日本アマ覇者になった。

コロナ禍が本格化した20年春の入学で、さまざまな制限を受けた2年間を経て、大学3年で花が咲いた。「ゴルフも今年になってよくなって。今は本当に楽しいです」。松山も手にできなかったタイトルを手にし、岡田の人生が一気に熱さを増していく。

◆岡田晃平(おかだ・こうへい)2002年(平14)2月18日、高知県生まれ。ゴルフは父の影響で9歳から。中学3年の16年に日本ジュニア(12~14歳の部)優勝。17年はナショナルチームU17。昨年の日本学生8位、ツアーは出場5戦で21年日本オープン42位が最高。172センチ、70キロ。ドライバー飛距離は約300ヤード。

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