4位から出た青木瀬令奈(29=フリー)が、4つ伸ばして首位に浮上し、今季初、1年ぶりのツアー通算3勝目に王手をかけた。

5バーディー、1ボギーの68で回り、通算11アンダー、205。日々の反省を記す手帳サイズの「ざんげノート」は、前回優勝した昨年6月の宮里藍サントリー・レディースから始めて6冊目。導き出したティーの位置を下げる作戦で、不調だったフェアウエーキープ率を上昇させ、初の逃げ切り優勝に大きく近づいた。

   ◇   ◇   ◇

スタートから次々とティーショットをフェアウエーに運び、青木が勢いに乗った。3番パー4で、フェアウエーからの第2打を2メートルにつけてバーディー先行。終盤の15番まで1度もティーショットを曲げず、5~7番では3連続バーディーを奪った。前日の第2日は57・14%と低かったフェアウエーキープ率が、85・71%と飛躍的に上昇。「飛距離は落ちても、狙ったところに打てた方がリズムが良い」と、ティーの位置を普段の半分、約2センチ下げる大胆な作戦で首位に立った。

前回優勝した1年前の大会中に「ざんげノート」を始めた。それまで4年間も勝てず「引退はいつかな」とまで考えた。だがキャディーも務める大西翔太コーチに「どれだけゴルフと向き合うか」と言われて目が覚め、好きなゲームや漫画を一切封印。日々考え、この日はティーを下げる作戦にたどり着いた。過去2勝は共に最終日の逆転。「逃げ切り優勝はすごくカッコイイ。憧れ」。逃げ切り優勝までの道筋をノートに書き、勝負の最終日に臨む。

○…ささきしょうこがアクシデントを乗り越え、首位と2打差の4位に浮上した。首位と3打差の11位で臨む前のこの日午前3時過ぎ、帯同の山下キャディーから体調不良を訴える連絡が入った。連日の猛暑で「熱中症の症状だった。命にかかわること」と、急きょ早朝からハウスキャディーへの交代の段取りに追われた。その中で4バーディー、ボギーなしの68と4つ伸ばして通算9アンダーへ。「こんなスコアが出るとは思わず不思議」。前週1打差2位に敗れた雪辱の舞台が整った。