堀川未来夢(29=Wave Energy)がツアー通算3勝目、国内メジャー2勝目を挙げた。首位から出て4バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの70と1つ伸ばして回り、通算15アンダー、269。一時は1打差に迫られた2位との差を、スタート時点の3打差に戻して逃げ切った。今大会の会場となった、静岡・三島市で4年間過ごした日大時代は、プロをあきらめ一般企業就職も考えたが「第2の故郷」で、見守った後輩に勇気を与えた。

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10センチのウイニングパットを決めると、笑顔が止まらなかった。同組の選手らと握手を交わした堀川は、帽子を手にした左手を高々と掲げた。日大の後輩が陣取るスタンドに向かい、応援に感謝の意を示した。日大の先輩、後輩プロからウオーターシャワーで祝福されると、優勝インタビューで「最後まであきらめず優勝することができた。日大の後輩たちも18ホールずっと付いて回ってくれた。第2の故郷で少しでも恩返しできてうれしい」と、一段と笑顔になって話した。

開始2ホールで、2位から出た嘉数に1打差まで迫られた。連続バーディーの相手に対し、堀川は3番パー4で、ティーショットを右のがけ下深くに打ち込んだ。1度はがけ中腹でボールを発見も最終組と無関係のもの。「(契約する)ブリヂストンじゃなかった」と、あわや誤球。再捜索で次にロストボールの危機が訪れたが、ギャラリーの日大ゴルフ部員が発見し、事なきを得た。第2打でがけから脱出。第3打を1メートルにつけ「パーで上がれると思わなかった。ラッキー」と流れを変えた。16番パー4でチップインバーディーを奪い、勝利を決定づけた。

国内メジャー2勝目で、名実ともにツアーを代表する選手となった。だが大学3年時に1度はプロをあきらめた。ゴルフと無関係の企業を含め、本格的に就職活動。それでも今回の会場となったグランフィールズCCで、キャディーのアルバイトをしながら腕を磨くなどして成長した。「実力が上がったのは大学の4年間」。卒業後もずっと日大のコーチに名を連ね、オフは毎年、後輩とラウンド。「自分でバッグを担いで回る。そういう環境に身を置くことで衰えているかも分かるし、エネルギーをもらえる」と初心を忘れない。

今月2日には日大の和田監督に「勝ちきる方法を教えてあげてくれ」と言われていた。全て逃げ切りの3勝目に「ちょっとはいいところを見せられたかな」と笑った。サウナ好きで一昨年には「サウナ・スパ健康アドバイザー」の資格も取得。前夜1時間半、この日朝1時間も堪能したこだわり派が、さらなる勝利を追求していく。【高田文太】

◆堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)1992年(平4)12月16日、神奈川県生まれ。4歳からゴルフを始め、厚木北高から日大。14年アジア・パシフィックアマで2位。同年11月にプロ転向。19年国内メジャー、ツアー選手権森ビル杯でツアー初優勝。昨年のカシオ・ワールドオープンで2勝目。176センチ、84キロ。

○…2位から出た嘉数が、一時は首位に1打差まで迫ったが、中盤から失速し、9アンダーの4位で初優勝はならなかった。1番パー5で第3打を2メートル、2番パー4で第2打を3メートルにつけて連続バーディー発進。3番パー4も第2打を2.5メートルのチャンスにつけたが外し、流れを失った。4バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの73と2つ落とした。レギュラーツアー今季初出場の32歳は「優勝争いに絡めてよかった。いつかは優勝したい」と話した。

〈6つ伸ばし2位に入った片岡〉本当にショットが良く、ほとんどワンピン(2.5メートル以内)についたが、パターが入れたいところで入ってくれなかった。もうちょっと伸ばせた。メジャーでやっと良い成績を残せてよかった。自信になる。

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