メルセデス・ランキング1位の山下美夢有(21=加賀電子)が、18ホール最少ストロークのツアー記録を1打更新する「60」をマークした。

12バーディー、ノーボギーとバーディーを量産。今季3勝目に向けて、2位に5打差のロケットスタートを切った。前週大会でツアー初優勝を飾った尾関彩美悠は8打差の9位。前年覇者の西村優菜は11打差の42位につけた。

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山下はホールアウト後、何度もスコアカードをチェックした。「いつも以上に確認しました。60というスコアを書けてうれしいです」。18ホールの3分の2をバーディーのマークで埋めるツアー新記録「60」に、同組で4アンダーの菅沼菜々も「私がオーバーパーを打った感じ」と驚いた。

前半で6つ伸ばし、後半も勢いは止まらなかった。11番から4連続バーディー。「後半からイメージができて、打ったら入るといった感じでした」。ツアー新記録は後から知った。「ちょっとびっくり。(自己ベスト)8アンダーからの壁がきつかったので、12アンダーを出せて良かった」。最終18番パー5で6メートルのバーディーパットを沈めてガッツポーズ。新記録達成での喜びではなく「ベストスコアを記録したので」と照れ笑いした。

ラウンド前、良い感触はなかった。「練習場ではイマイチだなと。リズムだけ意識しようと思った」。フェアウエーキープ率は92・85%。バーディーラッシュの要因を「今週からドライバー、フェアウエーウッドを変えて、すごく安定していた。毎日トラックマン(計測器)を使って縦距離の練習をしているので、それもハマったのかな」と自己分析した。

前週まで歴代4位の11戦連続トップ10入り。安定した戦績も直近5戦で2位が3回。優勝まであと1歩届かなかった。前々週の国内メジャー、日本女子プロでは第3ラウンド(R)で2位に2打差の単独首位に立ちながらも、最終Rでスコアを伸ばせず2位。師匠の中嶋常幸に結果報告した際「ショットは結構いい感じだけど、最終日になると普段のプレーができていない」と指摘された。

「残り2日ある」。慎重に構えた上で「今日以上のスコアは出ないと思うので、1日1日やるべきことをして、少しでもアンダーパーを目指して頑張ります」。圧倒的なリードを奪いながらも、今季3勝目を淡々と目指す。【近藤由美子】

 

▽山下の記録

▼18ホール最少ストローク新記録 新記録「60」を樹立。12年サントリーレディース最終ラウンド(R)でキム・ヒョージュ(当時アマ、韓国)が、21年中京テレビ・ブリヂストン・レディース第1Rで稲見萌寧が記録した「61」を更新。

▼18ホール最多バーディー2位 21年中京テレビ・ブリヂストン・レディース第1Rで稲見萌寧が記録した13個に続く単独2位。

▼利府GCでの大会コースレコード新記録 15年大山志保が記録した「63」を一気に更新した。

※最多連続バーディー ツアー記録は諸見里しのぶ、成田美寿々の8連続で4ホール及ばず。

〈テレビ解説で会場入りしていた日本女子プロゴルフ協会顧問の樋口久子氏〉興奮しました。60はなかなか出るスコアではないし、もう1ストローク伸ばして50台で回ってほしかった。

〈山下と同組だった青木〉パットが結構入っていた印象があります。すごい転がり良いなと見ていました。