8月の全米女子アマチュア選手権で、日本人37年ぶり2人目の優勝を果たした馬場咲希(17=東京・代々木高2年)が、スケールの大きなプレーと笑顔で観衆を魅了した。昨年大会優勝の勝みなみ、今季5勝の西郷真央と回った注目組で1バーディー、2ボギーの73で1オーバー。首位の森田遥と6打差の22位で、アマチュア最上位に並んだ。特別承認を受けて初出場した国内メジャーで、スタート前に主催の日本ゴルフ協会(JGA)の特別表彰も受けた。国内最高峰の試合で「特別」な存在感を発揮した。

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スタート前から、この日の主役に指名された形だった。1番パー4のティーイングエリア。馬場が第1打を放つ前に、全米女子アマ選手権優勝を祝福する異例の表彰式が行われた。37年前に同選手権を制した、JGA理事の服部道子氏から記念品の銀プレートを受け取った。アナウンスだけの演出と思っていた馬場も「想像と違ってビックリ。うれしかった」というサプライズ演出。大器の国内メジャー初戦は、大観衆の大きな拍手で幕を開けた。

1番の第1打直後には、女性グループから「咲希ちゃん、おめでとう!」と声援を受け、満面の笑みを見せながら会釈した。随所に笑顔を振りまき、7番パー5で第3打を2メートル余りにつけてバーディーを先行させると、魅了された観衆から大歓声が起きた。12番パー5では果敢に2オンを狙い、むしろグリーンをオーバーする飛ばし屋ぶりも披露。「大きく振るようにした」とトップもフォローも高くした、身長175センチから繰り出されるドライバーショットは、将来を予感させるには十分な弧を描いた。

2週間前の住友生命レディース東海クラシックは、日米4戦目で初めてプロの試合で予選落ちした。「全くフェアウエーキープができず、ずっとドライバーの練習をしたので自信がついた」と、低調だったフェアウエーキープ率がこの日前半は100%に復調。全米女子アマ優勝後に初めてナショナルチーム入りし、今大会は特別承認で出場権を得た。日の丸入りのキャップとウエアに恥じないプレーを目指した、負けず嫌いの一端をのぞかせた。

6月のメジャー、全米女子オープンでも日本人アマチュア8年ぶりに予選を通過するなど、世界で活躍していた。それでも1番のグリーン上から「緊張で足が震えた」という。「何でだろう」と、自分でも理由は分からなかったが「それが逆に、すごく楽しかった」と、大物ぶりを発揮し、前半を5位で折り返すなど、どんどん観衆を魅了した。

22位発進ながらアンダーパーがわずか8人と混戦の展開だ。最終日を17歳160日で迎える馬場が仮に優勝すると、16年大会を17歳263日で制した畑岡奈紗を上回り、今大会と国内メジャーの最年少優勝を更新。周囲の期待は高まるが当の本人は「楽しみたい」と至って冷静。最終日も大会の主役となっている可能性は十分だ。【高田文太】

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