日本で行われる唯一の米男子ゴルフツアー、ZOZOチャンピオンシップ(13~16日)で、松山英樹(30=LEXUS)が連覇、さらには30代として初優勝に挑む。開幕2日前の11日、会場の千葉・習志野CCで9ホールの練習ラウンド後に会見。昨年大会は2位に5打差の圧勝で、日本で行われた試合としては5年ぶりの優勝だった。大歓声は今も思い出すといい、連覇で再び会場を沸かせたい思いの強さをにじませた。

   ◇   ◇   ◇

思い出の18番パー5で、松山は強振した。昨年大会の最終日と同じように、晴天の下、練習ラウンドの第2打でグリーンを狙った。「去年はたくさんのギャラリーの方が来てくれて、18番のセカンド(ショット)を打って歓声が上がった。それを思い出した」。昨年優勝、19年の第1回大会はタイガー・ウッズ(米国)に競り負けたが2位。今大会が日本で行われた過去2回(コロナ禍の20年は米国開催)は、常に松山は注目の的だった。相性抜群のコースを1年ぶりに回り、会見では言葉が熱を帯びた。

松山 早く優勝したいという気持ちが強いし、それが、またここだったら最高。ギャラリーの皆さんの力は、間違いなくプラスに働いている。連覇というのは、そう簡単ではないものだけど、それに挑戦できるのは僕だけ。それに向けてしっかりと準備したい。

この日はインコースの9ホールを入念に確認した。18番も第2打でグリーンを外した時を想定し、さまざまな位置からアプローチ練習。練習ラウンド中は目沢秀憲コーチだけではなく、同コーチと親しく、畑岡奈紗らも指導する黒宮幹仁コーチからもアドバイスを受けた。13年のプロ転向後、特定のコーチをつけていなかったが、21年に目沢氏をコーチにつけ、同年アジア人初のマスターズ優勝。広く意見を求める姿が、さらなる成長を予感させた。

1月のソニー・オープンを制したが、2月に30歳となって以降、優勝はない。9月に新シーズンを迎え、出場2戦目で30代初勝利を狙う。昨年「30代はいろんな経験を踏まえて強くなる時期。そこでどれだけ活躍できるか」と、30代が最も強くなるとの持論を語ったことがあった。この日、予選2日間の組み合わせが決まり、マスターズで最後まで優勝を争った一方、東京五輪では敗れた金メダリストのザンダー・シャウフェレ(米国)と同組。発奮材料は尽きない。「優勝することが1番いい。でも、そればかりを考えていると、うまくいかない」。情熱と冷静さを兼ね備えた30代の大人の戦い方で、連覇に挑む。【高田文太】

○…松山の練習ラウンドに日本女子のエース畑岡が熱視線を送った。ギャラリーにまぎれて私服姿で、ロープ外から全9ホールに同行した。「私はグリーン周りが課題なので、松山さんの練習は勉強になる」と、特にショートゲームの練習を熱心に見つめた。大勢のギャラリーを集めた様子には「練習ラウンドから見たいという人が、これだけいるのは、やっぱりすごい」とうなった。主戦場の米女子ツアーは次週韓国、その後は日本で開催。一時帰国を有意義に過ごした様子だ。

○…プロ3年目の岩崎が、黒宮コーチに指導を受ける縁で、松山と一緒に練習ラウンドを回った。松山とは初対面。「テレビで見る存在でしかなかったので試合以上に緊張した」という。声を掛けられなかったといい「年齢とかを聞かれたけど、ゴルフのことは話していない」と苦笑い。それでも「あれだけ本番を想定して集中して練習する人を見たのは初めて」と刺激になった。17番パー4で180ヤード余りからの第2打を直接カップに決め、松山から拍手されると笑顔。国内男子ツアー未勝利ながら、今季賞金ランキング9位の資格で米ツアーに初出場する。

【関連記事】ゴルフニュース一覧>>