藤田さいき(36=チェリーゴルフ)が逆転で11年10月富士通レディース以来、11年35日ぶりの優勝を果たした。

首位に1打差の2位で出て、4バーディー、ノーボギーの67で回り、通算21アンダー、263。88年のツアー制施行後、10月の三菱電機レディースを制した金田久美子の11年189日ぶりに続く歴代2位のブランクVで、通算6勝目となった。単独首位で出た鈴木愛は1打差の2位だった。

   ◇   ◇   ◇

藤田は1・2メートルのウイニングパットを決めると、しゃがみこんで涙をぬぐった。11年ぶりの優勝。「とても長かった11年だった。一言で言えないが、素直にうれしい」と喜びをかみしめた。6月の宮里藍サントリーレディースでは体力が残っておらず、18番グリーン上でパターを抱えたまま尻もちをついた。「今回は体重を支えられる体力は残っていた」と照れ笑いした。

13番パー4でバーディーを取り、初めて単独首位に立った。優勝のカギに16番のパーパットを挙げた。「パットが入れば流れが良くなると思って打った」。4メートルのパットをねじ込んでナイスセーブ。その後も2位の鈴木に1打差をつけたまま、何とか逃げ切った。

今季2位が3回。「自滅じゃないけどボギーを打って、優勝に届かなかった。パープレーでスコアを落とさないことを目標に着実にいった」。この日ノーボギー。堅実なプレーも、前年に原英莉花が樹立したパー71での72ホール最少ストローク記録を4打更新した。

今大会は10月に亡くなった橋本道七三(みちひさ)さんがキャディーを務める予定だった。「後半戦はほぼお願いしていました。どうしても彼のために優勝したいと思っていた」。恩人にささげるVにもなった。

11年11月に結婚後、初Vにもなった。夫の和晃さん(37)に「感謝しかない」と感極まって涙ぐんだ。「結婚してダメになったと言われて、大変な思いをしているのにそれを見せず、私がゴルフに集中できる環境を作ってくれた。2人で頑張って優勝しようとずっと言ってきた。苦しくてつらくなった時も『大丈夫』と言ってくれた。一番近いところで支えてくれた」。

11年の間、子宮頸(けい)がんなどの病気や手術も経験。シード落ちも経験した。「つらかった涙をたくさん流してきている。それが報われて良かった」と話した。【近藤由美子】

◆藤田さいき 本名藤田幸希。1985年(昭60)11月22日、静岡県沼津市生まれ。14歳からゴルフを始める。栃木・国際情報TBC学院出身。05年からプロでツアー参戦。06年プロミスレディースで初優勝。10年日本女子プロ選手権を制し賞金ランク10位に。16年ツアー登録名を「藤田さいき」に変更。168センチ。