首位から出た小平智(33=Admiral)は、1つ落として5位に終わり、18年の今大会以来、4年ぶりとなる日米通算9勝目はならなかった。

2位を2打リードして出て2バーディー、3ボギーの71で回り、通算10アンダー、270。5つ伸ばして12アンダーで優勝した谷原秀人に2打及ばず、11アンダーの岩田寛、出水田大二郎、チャン・キム(米国)にもかわされ、石川遼と並んだ。

序盤から苦しい展開だった。5番パー4でボギーが先行。ティーショットは右に曲げ、木に当たってラフに落ちた。第2打をグリーン右のカラーとラフの境目に運ぶと、第3打のアプローチはユーティリティーを選択。これが強く入り、傾斜を下ってグリーンの反対サイドからこぼれた。第4打でようやくグリーンに乗せ、1・5メートルのパットを沈めてボギーにとどめた格好となった。その後も伸ばしたいパー5の6番で、フェアウエーからの第2打が木に当たって戻る形で、バンカーに入るなどしてパー止まりだった。

だが8番パー3で、紙一重の差で最初のバーディーを奪ってから流れを引き寄せ始めた。8番はティーショットをピン左2・5メートルへ。バーディーパットは、カップの右端ギリギリから1回転し、遠心力でこぼれそうになりながらも「コロン」という音を立てて落ちた。小平は立ち尽くして「フーッ」と息を吐き、ホッとした表情を見せた。さらに10番パー4も、4メートルのパットを、今度は左端ギリギリからしぶとく決めて2つ目のバーディーを奪った。

それでも12番パー4で、アプローチを寄せきれずに2つ目のボギーをたたくと、1度は2打差に引き離した谷原に追い付かれた。さらに、伸ばしたいパー5の17番で、第2打をグリーン奥のバンカーに入れるなどして乱れ、痛恨のボギーをたたき、優勝の可能性が事実上、消滅した。

幼少から指導を受けてきた、元レッスンプロの父健一さんのためにも、どうしても勝ちたかった。健一さんは現在、肺を患う体調不良だったが、この日は車いすで会場まで応援に駆けつけていた。ホールアウト後は「親父にいいところを見せたかったけど、見せられなかったので、そこが1番悔しい」と唇をかんだ。