青木瀬令奈(30=リシャール・ミル)が最大8打差を大逆転し、今季初勝利を挙げた。

8バーディー、ノーボギーの64をマークし、通算17アンダー、199と大会記録を3打更新した。昨年7月の資生堂レディース以来のツアー通算4勝目は、史上14人目となる54ホール以上ノーボギーでの優勝だった。2位は笹生優花、単独首位で出た上田桃子は3位に沈んだ。昨年全米女子アマチュア選手権を制した馬場咲希は16位でベストアマを獲得した。

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自分のプレーに集中した青木が、最高の結果を呼び寄せた。序盤についた最大8打差を逆転する劇的勝利。最終18番パー4で、ウイニングパットとなるパーパットを沈めると、キャディーを務める大西翔太コーチに「勝った?」とたずねた。初めて勝利を知り、表情が緩んだ。

「最大の敵は自分。コーチとも徹底してやろうと話した」。首位の上田と4打差2位でスタート。上田の5連続バーディーで、5番終了時点で8打差まで開いた。それでも後半はスコアボードを1度も見なかった。上田の2度のダブルボギーを横目に確実にバーディーを重ね、13番で一気に逆転。「優勝争いで苦しい場面がない時はない。(上田)桃子さんも後半苦しくなるかもしれない。後半伸ばせたらチャンスがあるかも」。諦めない心がツアー史上14人目の3日間ノーボギー、大会記録の通算17アンダーの快挙を生んだ。

勝因の1つにパッティングを挙げた。開幕から感覚や芝によって毎週パターを変えているパットの名手。今週は2年ぶりにセンターシャフトのパターを使用。「球足が自分のイメージと合っているのが良かった」。6番の8メートル、10番で6メートル、13番での2メートルを沈めてみせた。

勝利を追求し、周囲も「侍のようだ」と驚くストイックな生活を続けてきた。「何かを犠牲にして何かを得るほうが、自分に合っている」。2年前から美容院には行かず自分で髪を切り、ネイルサロン通いをやめた。大好きな宝塚歌劇団の観劇なども封印した。それも一部解禁の意向だ。「髪の毛を染めに行きたい。コーチと相談して、宝塚には行きたい」。

今年の目標に複数回優勝とメルセデスランク3位以内を挙げた。「昨年は複数回優勝を達成できなかったのと、トップ10に入れなかったのがすごく悔しかった。トップ3ぐらい目標にしないと」。目標をあえて高く掲げて達成を目指す。【近藤由美子】

○…上田桃子(36=ZOZO)が、またも最終日に失速して優勝を逃した。「やることなすこと、うまくいかない感じだった」。4打差の首位から出て1番から5連続バーディー。独走態勢を築きながら、3ボギー、2ダブルボギーの74と後半に自滅した。

11番パー4が痛かった。ティーショットからミスで3打連続バンカーに入れ、4オン2パットでダブルボギー。ショット、パットとも修正できずに終わり、「調子自体は後半も悪くなかった。いいショットでもラフに行ったり。自分でも分からない。集中力が欠けていたんだろうなと思う」と首をひねった。

昨季はTOTOジャパンクラシック、伊藤園レディースと、2週連続で首位で最終日を迎えながらも優勝を逃した。「最終日の課題を自力で克服するだけ」と話していたが、課題克服も持ち越しとなった。

○…原英莉花は65の猛チャージで3位に入った。「バーディーを昨日は6個、今日は8個取ろうと決めていたので、ノルマをクリアできて良かった」と笑顔を見せた。今季3戦目でビッグスコアを出した。次戦以降に向けて「例年よりも調整がうまくできているので、あとは気持ち。結果、結果となっていて、自分のゴルフに向き合えていなかった。しっかり向き合って、いいスコアを出したい」と意気込んだ。