世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、2年連続の8強進出を逃した。同12位のリシャール・ガスケ(フランス)に約1時間の雨の中断を挟みながら、4-6、2-6、6-4、2-6の2時間35分で敗退。今季の4大大会、マスターズ全戦で続けていた8強以上の成績が途切れた。次戦は、6月13日開幕のゲリーウエバーオープン(ドイツ)に出場予定だ。

 誰よりも落ち込み、失望した。錦織は会見場で、今にも崩れ落ちそうだった。言葉を振り絞るのが精いっぱい。「(ベスト)4や決勝に行ける可能性を感じていた。もったいない、悔しい」。自分を信じていただけに、その落ち込みは激しかった。

 天を恨んでも仕方がない。しかし、雨が恨めしかった。「球が重くてクリーンに打てなかった。もう少し晴れてれば早い展開ができたと思う」。水分を含んだ球は重く、毛羽だった球は空気抵抗で飛ばない。直線的な弾道で畳み掛けたかったが、雨がそれを阻んだ。

 第1セット、4-2リード。錦織のサーブで雨が降り出した。観客席で一斉に開く傘の花。その慌ただしさが、選手にも伝染する。ジュースと競ったところで中断した。その後「相手の守備が良くなった」。打っても打っても決まらない。再開後は6ゲームを連取され、第3セットを奪ったが、押し切られた。

 直前のマスターズ大会はマドリード、ローマとも、苦手だったガスケに2連勝してこの日を迎えた。「今年が最も充実している」とも話していた。全仏前まで出場した4大大会とマスターズ大会全てで8強以上の成績を残した。今季、錦織だけが達成していた誇りある記録。それだけに、自分への期待感は大きかった。

 ラケットのストリングスの張力を、0・5ポンド違いで分かる繊細さがある。錦織を世界のトップ10に定着させているゆえんでもある。その鋭い感覚はもろ刃の剣だ。「フィーリングが合わない日だった」。感覚だけに、取り戻したくとも戻せないもどかしさも残った。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 31日午後8時55分~、WOWOWライブ。男女シングルス準々決勝ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。