ノルディックスキー・ジャンプ女子のエース高梨沙羅(20=クラレ)が16日、北海道旭川市内のホテルで行われた「西旭川ロータリークラブ」創立60周年を祝う記念講演会に出席した。

 講演後、フィギュアの浅田真央さん(26)引退について初めて思いを吐露した。引退は合宿中だった米国で聞いたと話し「びっくりしたし、悲しい。真央さんの演技に何度も勇気づけられて頑張ってこられた。まだ受け入れられないでいる」と尊敬する人と公言してきた憧れの選手の引退に、寂しさを隠さなかった。

 心の支えだった。ともに出場した14年ソチ五輪で2人は金メダル候補として国民の期待を一身に背負って挑んだ。先に登場した高梨は4位。初の大舞台は悔しさだけが残った。失意のまま帰国し、心は晴れなかったが、その心を救い上げてくれたのが浅田さんのフリーの演技だった。

 ショートプログラム16位と絶望的な順位から、1日で軌道修正し、フリーで自己最高得点をたたきだし6位。メダルには届かなかったとはいえ、会場だけでなく、見るものすべてを引き込んでいく演技に涙がとまらなかった。「結果以上のものがあると教えてもらった。私もそういうジャンプをしたい」と再び前を向くきっかけを作ってくれた。

 来年2月の平昌五輪には憧れの背中はいないが、浅田さんの演技は胸に深く刻まれている。「これからも背中を見続けて成長していきたい」。氷上のヒロインと直接会ったのは2度だけだが「もう1度、お会いして伝えたいです。ありがとうございましたと」。雪上のヒロインは、2度目の大舞台で感謝の大ジャンプをみせる。