女子レスリングで五輪4連覇を達成した伊調馨(33=ALSOK)が2日、大阪・熊取町の大体大でシンポジウムに参加した。

 女性アスリートへの心理面のサポートに関する研究と実戦を目指す同大学の取り組みの一環で、学生や職員に向けて経験談を披露。04年アテネ五輪の頃と比較し「格段に恵まれた環境が整っていて、うらやましいと思うことがある。後は選手たち自身が、それをどう活用するかを考えれば、私以上の結果を出す女性アスリートも出てくるのでは」と期待を込めた。

 一方でストイックさのあまり心理的なストレスを抱える選手が存在することも、問題点として提言。「私はレスリングと一直線に向き合うことに楽しさを感じるタイプ」と前置きした上で「応援してくれる人たちを喜ばせようと一生懸命に取り組むがあまり、精神的に疲弊する女子選手もいる。家族や仲間らが、ただ見守ってくれるだけで救われるもの。何げないアドバイスによって、その解決につながるケースも少なくないと思う」とアスリート目線で思いを発信した。

 8月下旬まで行われた世界選手権で女子レスリングは、全8階級で金4個を含むメダル6個を獲得した。伊調は出場していないが、16年リオデジャネイロ五輪後も日本は、世界トップ級の実力を示している。そのような現状も踏まえ「選手が結果を出し続けていることで競技人口も増え、注目度や期待感も高まっている。そんな中でもプレッシャーに負けない、精神的に強い選手を育成するために、これまでの私の経験が生かせればうれしい」と心理面のサポートにも意欲を示した。