バドミントン女子ダブルス世界ランキング3位で、5月1日付で再春館製薬所から岐阜トリッキーパンダースへ所属を移した福島由紀(25)広田彩花(23)組が9日、所属先を通じて「移籍説明文」を発表した。再春館製薬所時代に約5年間指導を受けて、現在は岐阜トリッキーパンダースに在籍する今井彰宏氏とともに東京五輪を目指すためと、説明。その上で「『引き抜き』ではなくて『押しかけ』です」と表現した。

 フクヒロ組は、3月末に再春館製薬所に退職届を提出。金銭的不正行為があったとして、昨年1月に再春館製薬所の監督を解任された今井彰宏氏が在籍する岐阜トリッキーパンダーズへの移籍を希望した。しかし選手の家族から強い慰留があるとして、同社が退社手続きを4月末まで保留。同月のアジア選手権で初優勝を飾ったフクヒロ組は、移籍についての質問に口を閉ざしてきたが、初めて自分たちの考えを表明した。

 以下は全文。

 報道機関の皆様から移籍についてご質問をいただいていますので、今、ご説明出来ることを文章にしました。私たちはプレーに集中したいと思っています。記者会見では試合や練習以外のご質問には答えを控えますのでご容赦ください。今回の移籍理由について「もっと成長して次のチャレンジをするため」とご説明しました。もっとはっきり言うと、(今井)彰宏さんと東京オリンピックを目指すためです。

 私たちは、社会人になって日本代表に入るまでの約5年間、彰宏さんとともに歩んできました。彰宏さんには一生懸命育ててもらいました。東京オリンピックは初めははるかかなたでしたが、彰宏さんが励まし続けてくれました。この約5年間の土台の上に今の私たちがあります。

 日本代表の朴監督やコーチの皆様からのご指導ももちろん大きいです。しかし、今の日本代表には世界トップクラスのペアがたくさんいます。仲間であり、強いライバルでもあります。一歩上を行くには、彰宏さんのサポートが必要なのです。

 去年の彰宏さんの監督解任の時には、再春館の西川会長に「彰宏さんが再春館を辞めたら自分たちも辞める」と伝えました。

 彰宏さんが再春館を退社すると知ったのは今年の2月でした。

 「彰宏さんの移籍先のチームで、一緒に東京を目指す」。

 それしか私たちには考えられませんでした。

 3月初め、私たちは彰宏さんに会って自分たちを引き受けてくれるよう頼みました。「引き抜き」ではなくて「押しかけ」です。

 その時知ったのですが、彰宏さんは去年の終わりに再春館退社を決めて、ある大学の監督になると一度は決まっていたそうです。私たちと東京を目指すのを一度は諦めていたわけです。

 しかし、私たちは移籍をお願いしました。

 彰宏さんも岐阜トリパン(トリッキーパンダーズ)も相当な覚悟で引き受けてくださいました。

 今回のことで、みなさまから応援のお言葉、ご心配のお言葉、ご批判のお言葉もいただいています。

 でも、私たちにはこの道しかない。後悔したくない。そう思って前に進みました。

 ユーバー杯では日本の優勝に貢献できるようがんばります。

 日本チームへの応援をよろしくお願いいたします。

 福島由紀

 広田彩花