16年に初代王者となった天理大が同大を下し、2年ぶり2度目の優勝を果たした。

 秋の関西リーグで2連覇中の王者は、現時点で突出した存在。フッカーの島根一磨主将(4年=天理)は「自分たちの形でトライが取れていない」と反省しながらも「常にリアクションを意識して、トライまでつなげられた。練習の中から(相手の)ミスに対して、しっかり取り組めていたのが出たと思う」と振り返った。

 連係でのミスが目立つ中で、地力が光った。U-20(20歳以下)日本代表の活動や、教育実習の影響で、この日のベンチ入り25人での練習は1週間程度。その中で今季から「外国人同時出場枠」が2人から3人に増えたことを受け、小松監督はロックのアシペリ・モアラ(1年)、NO8ファウルア・マキシ(4年)、WTBシオサイア・フィフィタ(2年=いずれも日本航空石川)の外国人留学生を初めて3人同時に起用した。

 試合は前半5分に先制トライを挙げたものの、同12分には同大のBK攻撃で7-5。しかし同30分、ボール奪取から素早い攻撃を披露し、WTB中野豪(4年=常翔啓光学園)のトライで主導権を握った。

 光ったのは相手のミスで転がったボールへの働きかけや、ボール奪取後の無駄のない攻撃。前半を24-5で折り返すと、後半もさらに点差を広げた。指揮官は外国人留学生について「基本的には3(人同時出場)」と起用法をイメージし、その上で「日本人との兼ね合いもある。(1人1人の)ディフェンスの幅を考えると日本人の方が良かったりもする。どこでどう使えるかを考えていきたい」と今後の戦いを見据えた。 大学選手権10連覇を目指す帝京大をはじめ、関東の強豪校に立ち向かっていく構図は今季も変わらない。関東勢との春の試合は、外国人留学生を起用しない大学ばかりだったため、小松監督は「(現時点での立ち位置は)測りにくい。夏合宿で測ることになる。今日みたいなゲームだと厳しい。きっちりと自分たちのラグビーをしないといけない」と冷静に分析する。

 この日も会場には多くの日本代表やトップリーグ関係者が駆けつけ「(全国4強だった)2年前より強い」「帝京にも抵抗できる」という声もあった。この春は互いにベストメンバーとはいえない布陣だったが、早大を59-14、明大を24-17で下すなど、周囲の期待は高まっている。島根は自らに言い聞かせるように「(春の)自信を過信にはしない。自分たちが挑戦者なのは変わらない」と秋の本番を見据えた。