女子は平昌五輪(ピョンチャン・オリンピック)銅メダルの高梨沙羅(22=クラレ)が3年連続6度目の優勝を飾った。1回目に131・5メートルで首位に立つと、2回目には最長不倒となる144メートルの大ジャンプで合計278・1点をマーク。大倉山競技場が改修のため、例年より遅い時期の開催となった改修後初の大会で、2位に90・6点差の圧勝だった。
澄み切った秋空に高梨が力強く飛び出した。首位で迎えた2回目。めまぐるしく変化する風を捉えるとグングン伸び、尻もちをつきそうになりながら着地した。女子ジャンプ台記録まで1メートルに迫る144メートルをマーク。2位伊藤に距離換算で約50メートルを突き放す圧倒のV3だった。「着地の衝撃が強かった。あそこまで飛ぶと危ないですね」。自分でも驚いた様子だった。
小学生の応援団から風をもらったかもしれない。1回目は校外学習で訪れた5年生約80人が観客席にいた。131・5メートルと豪快に飛ぶと「沙羅ちゃーん!」と呼びかけられた。普段は次に集中するためそのまま控室に戻るが、あどけない笑顔に引き寄せられ、珍しくゴーグルを外してハイタッチを交わした。「待っててもらってうれしかったですね。力になりました」。声援をしっかりと大ジャンプにつなげて「恵まれた条件で久しぶりに楽しいジャンプ」と笑顔だった。
五輪明けのシーズンで意識するのは「対応力」だ。2季ぶりの個人総合優勝を狙うワールドカップ(W杯)は今月30日にリレハンメル(ノルウェー)で開幕。ラージヒルは昨季の2戦から今季は10戦と大幅に増える。心身ともにスイッチの切り替えが重要となり、日常生活から「慣れるようにしている」という。
大倉山は10月下旬まで改修を行っていた。国際基準に合わせ、ランディングバーン部分が最大70センチ盛り上がった。この台で高梨が飛んだのは前日練習で2回のみ。ぶっつけ本番に近い状態だったが「合わせてこられている。まだ足りないけど少しずつ対応力がついているのかな」と、国内3連勝にうなずいた。
9月の北海道胆振東部地震後は被災地に水などの物資を送り、サマーグランプリの賞金を全額寄付した。シーズン中、地元・北海道での試合は多くはない。「できる限りの力を尽くして頑張りたい」。今日3日はUHB杯、明日4日はNHK杯に臨む。【西塚祐司】
◆大倉山のジャンプ台記録 女子は16年3月19日、伊藤杯シーズンファイナルで伊藤有希がマークした145メートル。男子は栃本翔平が17年2月4日のUHB杯で記録した146メートル。


