6月29日、F1オーストリアGPのサポートレースとして開催された直下のFIA F2選手権第6ラウンドのレース1で、松下信治が優勝を飾った。

フリー走行からマシンの仕上がりが良かったという松下は、予選で4番グリッドを獲得。スタート直後から果敢に攻めて2位まで順位を上げた。

ピットストップが解禁となる6周目にピットに飛び込んでタイヤ交換を済ませ、そこから最後までタイヤを保たせながら安定したペースで走り切った。最後は首位を走るランキングトップのニック・デ・フリースのペースが低下したところを逃さず抜き去ってトップでチェッカードフラッグを受けた。

これまで何戦かではタイヤの保たせ方に苦労してきたが、その都度データ分析によって学び、タイヤを巧みに保たせる方法を掴み取った。

「プライムタイヤに換えてからはタイヤ勝負だなと思っていました。タイヤマネジメントでは今まで痛い目に遭ってきていたんで……でもニック(・デ・フリース)のペースもそんなに速くなかったし、全然付いていけるなっていう感じでした。最後に2位のルカ・ギオットが来ていたけど、ミラーを見る限りでは僕がちょっとプッシュしたらすぐに離れたんで、全然イケるなって思って敢えてプッシュせずに2秒くらいのギャップをキープして走っていました」

昨年は1年間、日本国内のスーパーフォーミュラで過ごしたが、今季は自力でスポンサーを集めてのヨーロッパ復帰。ここまでマシントラブルやタイヤの保たせ方などで苦戦を強いられ、モナコでの3位表彰台獲得が最高位だった。

「もちろん結果を出さなきゃという気持ちもあったけど、自分が持っているものを並べればできるはずだっていうのも分かってもいたんです。別に意識したわけではないけど今週はなぜか木曜からすごく落ち着いていました」

松下はF1参戦に必要なスーパーライセンスの取得要件を満たすべく、FIAF2でランキング4位以内に入ることが当面の目標となる。

「(F1という)目標は明らかにあるんで、それに向かって頑張っていきたいと思います。レース1で表彰台を取って、(上位8台がリバースグリッドとなる)レース2でもうまくスタートを決めてあわよくば表彰台に乗れれば最高の週末になるし、今後もその繰り返しをやっていきたい」

(米家峰起通信員)