【ソウル(韓国)5日】フィギュアスケートの4大陸選手権女子2連覇が懸かる紀平梨花(17=関大KFSC)が「吉兆の青」で好発進する。6日のショートプログラム(SP)に向け、公式練習で青の衣装を着て調整。今季唯一80点を超えた昨年10月のグランプリ(GP)シリーズ第2戦スケートカナダ以来、封印してきた衣装で気分を一新する。4回転サルコーの投入も視野に入れるフリーへ、「青」で流れをつかみ取る。

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製氷したてのピカピカな銀盤に、紀平の「青」がよく映えた。午前11時35分。本番を想定した衣装でリンクに立ち、SPの曲をかけるとトリプルアクセル(3回転半)を着氷させた。この日の最低気温は氷点下10度以下。ソウルの厳しい寒さを感じつつ、帰りのバスへ乗り込む前に「これ(青)でいきます」と笑った。

今季の新SP「ブレックファスト・イン・バグダッド」に合わせ、初戦前に青と赤の衣装をそろえた。昨年10月までの大会では青を着用。特にGPスケートカナダでは3回転半で2・86点の加点を導き、81・35点をたたき出した。SP自己最高まで2・62点に迫る好演技。その後は赤を愛用してきたが、今回は気分転換を兼ねて、いいイメージが宿る青を持参していた。

仕上がりも順調だ。午後から行われた公式練習では、4回転サルコーに成功。フリー曲をかけての通しでも3回転半を2本とも着氷させ、手応えを得た様子だった。今季最大の舞台は世界選手権(3月、カナダ・モントリオール)。強力ロシア勢に対抗するために4回転挑戦を掲げており、今大会または、20日開幕のチャレンジ・カップ(オランダ)で“予行演習”が理想的だ。

結果と内容-。その二兎(にと)を追う戦いに向け、前日4日には「ショート(SP)、フリーともにノーミスで、連覇を目指して頑張りたい」と力強く言い切った。フリーで4回転に挑戦するためにも、SPの出来は大きな鍵となる。

1月の欧州選手権では16歳のコストルナヤ(ロシア)が、激しい戦いを制して頂点に立った。「ジャンプ以外の部分でも完成度が高い。ジャンプだけでは、勝てない時代になってきている」。自覚するのは総合力の必要性。磨き上げた技術や表現を「青」にとけ込ませ、まずはSPから、とっておきの作品を作り上げる。【松本航】

◆4大陸選手権 国際スケート連盟主催で、欧州以外の国・地域(アメリカ、アジア、オセアニア、アフリカの4大陸)が参加する。第1回は99年で毎年1月か2月に開催。同時期に行われる欧州選手権に対抗し、選手たちに国際経験を積ませることが目的。参加枠は各国最大3人(3組)まで。女子は日本勢が4連覇中(宮原知子、三原舞依、坂本、紀平)。男子は前回大会で宇野昌磨が初優勝。