帝京大(関東対抗戦1位)が明大(同3位)を圧倒し、前人未到9連覇を達成した17年度以来、4大会ぶり10度目の頂点に立った。

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目立ったのは帝京大のディフェンスだった。明大の攻撃をしっかり止めた。もっとも、これだけタックルが決まったのは、明大の攻めが単調だったから。点と点を結んだ線の攻撃で、横への変化がなかった。力があるランナーがそろう明大だが、あのアタックなら帝京大も守りやすいだろう。

帝京大は、チーム作りが素晴らしい。「勝てば選手のおかげ、負けたら監督の責任」が岩出監督の考え。だから、選手たちはのびのびとプレーできるし、自主性も生まれる。試合の中で指示を待たず、自分の考えで動くことができる。

ここ数年は優勝こそ逃していたが、高いレベルは保っていたし、低迷していたわけでもない。自由に発言や行動ができる「心理的安全性」が高い組織は強い。そういうチームを作ったのは、岩出監督の手腕だ。

もちろん、個々のフィジカルやスキルは重要。戦術やトレーニング方法も常にアップデートしていく必要がある。ただ、それだけで勝てるわけではない。勝てないのはチーム作りに問題があるから。各大学は帝京大の強さに学び、チーム作りから考え直していくべきだと思う。

(早大OB、元日本代表)