日体大の卒業式が15日、東京・世田谷キャンパスで行われ、柔道女子52キロ級の21年東京五輪金メダリスト阿部詩(22)が出席した。在籍したスポーツ文化学部などが出席した午後の部で卒業生代表あいさつを務め、武者小路実篤の詩「もう一息」を引用。「もう一息というところで くたばっては 何事も ものにならない」という心構えを紹介し「この詩に背中を押され、東京五輪がある」。出身道場の兵庫少年こだま会で兄の一二三と朗読していた詩が、今も支えになっていた。

高校卒業時に実業団へ進む選択肢もあったが「日体で成長させてもらえた。正しかったと胸を張って言える」と4年間に感謝。4月からは兄と同じパーク24に入社し、母校を拠点に24年パリ五輪で2連覇を目指す。「稽古とトレーニングの間に時間ができるので、海外で指導するためにも英語を習得できれば」と話した。

4度目の優勝が懸かる世界選手権(5月、ドーハ)が新社会人の初戦。前日14日には全柔連が強化規程を改正し、最速で6月にもパリ五輪代表の内定を受けることが可能になった。その最有力候補が自身。「最短でもらえるのが一番。パリまでの準備期間を得られるので、最短で決めにいきたい」と燃えた。【木下淳】