B1東地区7位の仙台89ERSが、同6位茨城ロボッツに68-72と競り負けた。試合は第1クオーター(Q)に6-18とリードを許したが、第2、3Qで盛り返し、50-49。だが第4Q、藤田弘輝ヘッドコーチ(HC=36)が2度のテクニカルファウル(スポーツマンシップに反する行為や言動に対して取られるファウル)を取られ退場。それを機に試合の主導権を奪われ、一時13点差。最後は4点差まで詰めたが、3月最後のホーム戦で残留を争うライバルに手痛い敗戦を喫した。

勝負の第4Q、予期せぬ落とし穴が待っていた。開始14秒、ケガから復帰したラショーン・トーマス(28)がファウル。その判定を巡り、藤田HCは1度目のテクニカルファウルを受けた。その後、藤田HCが激怒。ベンチをたたいたことで2度目のテクニカルファウルを受けて退場し、計5本のフリースローを献上。そのすべてを決められ50-54と逆転され、試合の流れが相手に傾いた。

藤田HC退場後は、落合嘉郎アシスタントコーチ(AC=40)が指揮を執った。落合ACは「あの状況でも、選手たち1人1人がステップアップして、プラスの方向に行ったことはすごく評価できる。それが仙台が目指さなくてはいけないバスケットの姿」と振り返ったように、選手は奮闘。8日から復活したブースターの声出し“黄援”も熱を帯び、茨城をあと1歩まで追いつめた。

右第5指の脱臼骨折により、1月16日にインジュアリーリスト(故障者リスト)に登録されていたトーマスは、81日ぶりの実戦復帰に「疲れました…」と一言。11得点7リバウンドの活躍にも「自分のコンディションをもっと上げていかないと」と反省した。まだまだ本調子とはいかないが、チーム最多の1試合平均得点17・2点を誇るスコアラーが帰ってきたことは、チームにとって紛れもなくプラス。悔しい敗戦を糧に、勝利へ、いま一度ステップアップする。【濱本神威】