卓球Tリーグのプレーオフは26日、東京・代々木第2体育館で女子決勝が行われ、レギュラーシーズン1位の木下アビエル神奈川が3-2で同3位の日本生命レッドエルフを下し、初優勝を果たした。

先にゲームカウントを握られる中、木原美悠(18)が第4試合をものにすると、1ゲーム勝負のビクトリーマッチでも勝利。24年パリオリンピック(五輪)女子シングルスの国内選考レースで2位につける18歳が、1人で2勝を奪う活躍で、チームを初の年間王者へ導いた。

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優勝を決めると、木原は思いきり左手を突き上げた。アリーナを埋め尽くした2532人の拍手が、鼓膜を震わせる。

「1球1球、声援が聞こえてきた。最後まで必死にボールに食らいついた」

コロナ禍では観客が100人ほどだった時もあったが、今日は大勢のファンに見守られた。

「ありがとうと言い切れないほど、ありがとうと言いたい」

そう何度も頭を下げた。

窮地に立たされても落ち着いていた。マッチカウント1-2と後がない状況で出番を迎え、第4ゲームを3-2で競り勝つと、5分後のビクトリーマッチにもコートに立った。

「決勝じゃなくて、普段のTリーグと同じ」

伊藤美誠(22)との1ゲーム勝負。7-9とリードされても積極的に攻めた。「思い切ったほうが勝つ」と冷静さを失わず、4連続得点で勝利をつかんだ。

向上心が成長を促した。昨秋は1カ月以上にわたって国際大会を転戦。ようやく帰国すると「明日のTリーグに出ます」と福井へ直行し、“中0日”で試合へ出たこともあった。

中澤鋭監督も「吸収力が一番高い」とうなずく。何事も成長の糧としたことが飛躍につながった。木原も「追い込まれても、最後の1歩まで我慢できている」と笑顔で胸を張った。

「歌うことが好き。卓球場でも大声で歌っている」と、明るさも武器の木原は、24年のパリ五輪を見据える。現時点で国内の選考レース2位につけるが「もう1つ上を目指したい」と意欲を燃やす。

貪欲に努力を重ね、卓球界のエースへと駆け上がってみせる。【藤塚大輔】