日本ラグビー協会は24日、9月8日開幕のW杯フランス大会に向けて本格始動する日本代表36人と候補10人を発表した。

リーグワンでプレーオフを含めて17トライを挙げ、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(東京ベイ)の初優勝に貢献したWTB木田晴斗(24)が初選出。準優勝の埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉)CTBで、新人賞に輝いた長田智希(23)とともに同い年のBKコンビが名を連ねた。

6月の千葉・浦安合宿後に総数を10人程度減らす見通し。W杯代表33人入りを懸けたサバイバルが始まる。

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リーグワン初優勝の歓喜から4日。

ピッチ上と異なり、代表入りの報を受けた木田は表情をあまり崩さなかった。

「まだスタート地点。ここからが勝負だ、と思いました」

立命大から昨春に入団し、今季はリーグ2位16トライと大ブレーク。決勝の埼玉戦でも優勝をたぐり寄せる逆転トライを決めた。シーズンを通じて「(代表)メンバーに絡んでいけると信じていた」と力強く言った。

空手出身の男が、世界舞台への扉に手をかけた。

小4で極真空手の世界ジュニア選手権優勝。面識こそないが、同じ大会の1学年上の部門にはプロボクサー那須川天心が出場していたという。

左足でのキックと並ぶ武器のフィジカルには「空手の体幹が生きている」と実感する。

小5でラグビーに出会い、大阪の関西大倉中→高へと進学。全国大会とは無縁だったが「高校生の時から、海外でプレーできる選手になりたいと言ってきた。空手もみんなの前で、世界一を取ると言っていた。しっかり口に出して、自分にプレッシャーをかける」という信条は一貫している。

代表生き残りへのアピールの場、浦安合宿は約3週間と短い。

「昔から負けるのは嫌い。1番になりたい。またここから再スタートしたい」

有言実行の人生。フランスの地で暴れ回る青写真は、描けている。【松本航】

◆木田晴斗(きだ・はると)1999年(平11)4月9日、兵庫県生まれ。小5から宝塚ラグビースクールで競技を始め、関西大倉中高-立命大。U20日本代表を経て、20年にはジュニアジャパンで代表SO李、同候補プロップ小林とフィジー遠征。今季はリーグワンのベスト15、ベストラインブレイカー(防御ライン突破回数)をダブル受賞。176センチ、90キロ。