静岡県高校総体バレーボールが今日27日、県内各地で開幕する。

各地区大会を勝ち抜いた男女各32校が出場。決勝は来月4日、静岡市・このはなアリーナで行われ1位が全国総体(北海道)、3位までが東海総体(浜松市)の出場権を得る。女子では3月の東海新人大会(岐阜県)で女王・富士見を撃破した三島南が、粘りのバレーで悲願の初優勝を目指す。

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三島南の2人のチームリーダーが初の全国切符をたぐり寄せる。渡辺陽菜(はるな)主将(3年)と鈴木芙珠嘉(ふみか、3年)がコートの内外で輝きを放ちチームをけん引する。

2月の県新人大会決勝(1●2富士見)ではチーム計48得点中、2人で45得点(渡辺21・鈴木24)。圧巻のパフォーマンスで「常勝軍団」をあと1歩まで追い詰めた。その1カ月半後の東海新人大会B決勝で再び対戦し躍動。2ー0(25-19・28-26)のストレートで富士見を下した。身長166センチながら最高到達点が2メートル90を超える渡辺は「粘り強く拾うバレーができればチャンスはある。県総体では自信を持って強い気持ちで臨みたい」と力を込めた。1年の夏から公式戦に出場するも主要大会(新人・総体・選手権)では県準Vが4度。「もう準は要らない。私の代で歴史を変えてみせる」と決意を込めた。精度の高いサーブを武器とする鈴木は「先輩のリベンジを果たし北海道(全国)に行く」と意気込んだ。

就任10年目の勝間田知巳(ともみ)監督(50)は「抜群のリーダーシップを持つ2人」と評価。今年1月から、選手が練習メニューを決める「ボトムアップ理論」を受け入れて2人に託した。指揮官は「1つ1つの意図を考え、練習に『やらされている感』がない。選手全員の自主性が出た」と手応えを口にした。そんなマネジメントを行う2人は「3年生8人のサポートのおかげ」と口をそろえ、高い結束力に感謝した。

県総体4連覇中の富士見に次ぐ東部地区2位で出場。初戦(焼津高)を前に鈴木は「試合では相手に嫌がられる存在になる。1戦1戦を大切にしたい」。渡辺は「今は『やってやるぞ』という気持ちでいっぱい」と意欲を示した。決勝で流したたくさんの悔し涙を、今年はうれし涙に変えていく。【山口昌久】