B1仙台89ERSを振り返る-。藤田弘輝ヘッドコーチ(HC=37)のインタビュー最終回は「今季より良いバスケットをすることは変わらない」と語る来季の構想と、B1復帰1年目最大の課題となった“得点力不足”にどう向き合っていくのかについて聞いた。【取材・構成=濱本神威】

 

藤田HCは7日の最終、群馬戦後の会見でシーズンを振り返り「B1はどう守備を頑張っても点を取られてしまう。得点を取り返さないとそのまま(ゲームを)持っていかれる。だから、来季はどうオフェンスを改善していくのか、戦術も含めて考えていきたい」と語った。B1では相手に難しい体勢でシュートを打たせても決められたり、オフェンスリバウンドを取りたいと考えていても、リバウンドを奪われ、決められたり…。選手の能力や身長などの差で点を取られるシーンが多かった。

「点を取り返さないと勝てない」ことを痛感した。1試合平均得点は73・2でリーグワースト。藤田HCはその要因にオフェンスの「愚直さ」を挙げた。「ボールハンドラーの技量に大きく左右されるオフェンスになった」と反省。チームの司令塔であるポイントガード(PG)を担っていた渡辺翔太(24)のケガによる離脱などもあり、今年1月に青木保憲(27)を獲得。小林遥太(31)との2ガード制を敷くとチームの安定性がグッと増した。だが、PGからボールを受けるウイング陣のボール運びがうまくいかず、ターンオーバー(ミスによる攻守の入れ替え)につながる場面が多く見られた。チームはPG陣の渡辺、青木、小林とすでに来季の契約を締結。日本人選手でただ一人全60試合に出場した岡田泰希(23)に加え、シーズン終盤に高いオフェンススキルを発揮した渡部琉(22)との契約合意を発表した。

頭の中はすでに来季の構想で埋め尽くされている。新チーム始動は8月。シーズン開幕は10月とまだ時間はある。だが「(自分は)あまりスイッチオフにはならないタイプ。メリハリがない性格」と語るように、昨季の終盤からすでに来季のオフェンスについて考えているという。5~7月はその整理に費やし、8月からは選手とともに質を上げ、「進化した仙台89ERSのバスケット」を構築していく。「まずはしっかり休んでどんな編成をするか、地区にどんなチームが入ってくるかといった状況を把握して目標を設定し、やっていきたい。『今季よりも良いバスケットをする』ということは変わらない」。準備期間中もステップアップは怠らない。10月、さらに強くなったB1仙台89ERSのオフェンスが爆発する。