21年東京五輪(オリンピック)銅メダルの伊藤美誠(22=スターツ)が準々決勝敗退となった。

東京五輪金メダルの陳夢(中国)に0-4(7-11、5-11、5-11、5-11)で敗れた。

真価を求めて臨んだ、世界最高峰の舞台だった。

24年パリ五輪シングルス代表選考レースは国内外の競技会でのポイントを積み上げ、24年1月まで続く。大会前時点で自身は7位。代表圏内である上位2人入りへ、ポイントの大きい世界選手権での上位進出が、求められる立場といえた。

だが、それ以上に大会そのものの価値をかみしめていた。臀部(でんぶ)の痛みで全体練習に参加していなかった12日、日本代表合宿の場で心境を口にした。

「世界選手権はオリンピックより人数が出られます。もっと厳しい戦いになる。その中で結果を出す人が本物だと思います」

100%の状態ではない。それでも辞退は考えず、今、持つ力を出し切った。

「とにかく私は最後まで元気よく、試合をすることが目標でした。楽しんでやっている姿を、見てもらえたと思いました。やっぱり体を動かせるってことは楽しいな、と思いました」

そう言うと、涙をこぼした。本来の姿にはほど遠いが、やれることはやったという思いが見えた。

南アフリカの地に確かな足跡を残し、シングルスの戦いに幕を下ろした。

◆今大会のパリ五輪選考ポイント

優勝=200点

2位=160点

4強=120点

8強=80点

16強=40点

32強=20点

◆パリ五輪代表選考レース(大会前時点)

〈1〉早田ひな(332・5点)

〈2〉平野美宇(207点)

〈3〉木原美悠(182点)

〈4〉佐藤瞳(175点)

〈5〉張本美和(160・5点)

〈6〉長崎美柚(158点)

〈7〉伊藤美誠(155・5点)

〈8〉芝田沙季(137点)