全日本柔道連盟(全柔連)の理事会が9日、都内からオンラインで行われ、承認された次期役員候補者から山下泰裕会長(66)が外れ、退任することを表明したという。任期は28日の評議員会まで。非公開で行われた後の報道対応で、高山健事務局長(59)が明らかにした。

退任理由として、山下会長はスポーツ団体のガバナンスコード準拠を挙げたという。19年に制定され、理事が10年を超えて在任することが原則として認められなくなっていた。山下氏は1996年(平8)の理事就任から27年が経過していた。

ただし会長職は、国際競技団体(IF)では例外として2期まで認められているため、現在3期目の2、3期目までの計6年間を全うした。一方、山下氏は日本オリンピック委員会(JOC)会長としてガバナンスコードの適合性を審査、監督する立場にあり、高山事務局長は「苦慮されているところを直接、見聞きしてきた。それが退任の大きな要因の1つになったと理解している」と代弁した。

後任には、日本製鉄元副社長で全柔連の副会長を務めている中村真一氏(64)が昇格する見通し。

名誉会長となる予定の山下会長は、宗岡正二前会長の後を受けて17年6月に就任。19年の世界選手権東京大会や21年の東京五輪開催に大きく携わり、組織運営の面では専門委の統廃合や女性理事の登用、暴力やハラスメントの根絶などに取り組んできた。協賛金収入の3割増、新型コロナ禍を経ての競技人口下げ止まりから、微増に転じたことなど成果を強調し「一定の区切りが付いた」としているという。

正式な役員改選は今月末28日の評議員会、臨時理事会で諮られ、承認される。【木下淳】