貴乃花親方(元横綱)が、審判部長に抜てきされた。日本相撲協会の理事会が20日、東京・両国国技館で行われ、放駒新理事長(62=元大関魁傑)が新人事を発表した。審判部長は「花形」とも言われ、史上2番目に若い38歳0カ月での就任が決まった。公明正大な判定を宣言する一方、ファンサービスを意識し、分かりやすい言葉遣いで判定を説明する意向も示した。

 所信表明の場で、四字熟語が出た。貴乃花親方は、記者会見で言った。「今後は番付編成、そして勝負判定等を含めて、公明正大を目指していきたいと思います」。大関や横綱に昇進した時の口上に「不撓不屈」「不惜身命」の言葉を入れた平成の大横綱は、審判部長として「公明正大」を誓った。

 健康問題を理由に退いた武蔵川前理事長(元横綱三重ノ海)が教習所所長を務めることになり、玉突きで大役が回ってきた。判定に目を凝らし、番付編成の責任を担う。12日に38歳になったばかりの同親方による審判部長就任は、35歳11カ月で務めた出羽海親方(のちの境川理事長、元横綱佐田の山)に次ぐ若さになる。

 教習所所長に就いて半年後の配置転換について、放駒理事長は「今回は理事長がああなって、イレギュラーなケース。(審判部長は)前のことが分かっているし、一番いい顔だろう。抜てき?

 そうとってください」と話した。2月の理事選前、二所ノ関一門を飛び出した貴乃花親方とは「遺恨」もあったが、08年2月から1年間、審判副部長を務めた経験を買っていた。

 貴乃花親方は、すでに私案がある。「お客様が観戦をより楽しんでいただけるような、的確な判定を志したいと思います。判定基準言語を私なりに考えて、お客様の前に分かりやすくお話しできればと思います」。本場所中、物言いが付いた場面で、勝負審判は観客に向け、マイクで状況を説明する。かみ砕いた貴乃花親方流の「解説」が聞けるかもしれない。

 また、集客に結びつく可能性もある。これまでは、役員室に詰めていたが、審判長なら連日、土俵下に座る。ファンサービスにもなる。テレビにも映る。「私自身も土俵に立ってきた元力士ですので、集中力を高めて、審判席に座りたいと思います」。角界改革のため、秋場所(9月12日初日)から人気回復の一端を担う。【佐々木一郎】