大相撲の新関脇逸ノ城(21=湊)が九州場所(9日初日、福岡国際センター)直前に福岡・古賀市の部屋から一時離脱することが3日、分かった。下半身に張りが生じており、5日から大阪に1泊して整骨院で施術を受けることになった。

 所要5場所で新関脇へと駆け上がった怪物が、急ブレーキだ。帯状疱疹(ほうしん)で約1週間入院後、先月28日から稽古を再開したが調子は上がらず。「体が重い」「反応が悪い」「体が張って変な感じ」と異変を訴え続けてきた。2日の稽古後には、2月から体を診てもらっている大阪の柔道整復師・宇山昌克氏(46)を福岡に呼んで体をケア。だが、この日、三段目力士と50番の稽古をした逸ノ城は「上半身は100%になったっス」と回復を強調も、下半身については「まだ張りがある」と明かした。

 宇山氏は「骨盤にゆがみがあって下半身に力が入らない状態。ちょっと寝込むと、鍛えてきたものが落ちますから」と、入院生活が異変の原因と説明。湊親方(元前頭湊富士)は「ちゃんと骨盤が入らないと、下半身の張りが取れない。治すには(医療用の)台が必要なので、やむを得ない」と、同氏の整骨院がある大阪行きを承認した。

 逸ノ城は「場所もすぐ。ワクワクします」と大物らしく話したものの、調整の狂いは否めない。6日朝は稽古ができず、日程的に出稽古も厳しい。関取衆と胸を合わさずに本番を迎えることが確実。スピード出世の怪物に試練が訪れた。【木村有三】<逸ノ城の苦悩アラカルト>

 ◆緊急入院

 10月16日に埼玉県内の病院で背部の帯状疱疹と診断される。17日以降の秋巡業は休場。同24日に退院。

 ◆まげが…

 同27日に初めてまげを結うが「ドアの上とかに当たるんです」と困惑。車に乗り込む際も、まげの分がはみ出た。

 ◆弱音連発

 同29日に約2週間ぶりに相撲を取るが「しんどい」「反応も当たりも悪い」「体が超重い」とぼやき続ける。31日から出稽古予定も断念。

 ◆手つき

 同31日の稽古では、立ち合いの手つきを試行錯誤。秋場所は左手を先についていたが、湊親方の指導を受けて右手を先について稽古するも、途中から両手同時に変更した。

 ◆食欲不振

 11月2日の稽古後には「食欲もないっス。ちゃんこも1杯だけ」と明かし「食べなくても体重が増える。200キロ超えてるかも…」と苦笑。