<世界大学選手権:米国4-2日本>◇5日◇準決勝◇横浜スタジアム

 初の大学世界一を目指した早大・斎藤佑樹投手(4年=早実)が、1球に泣いた。過去4大会で6戦全敗だった米国戦に先発し、1点先取した直後の1回に、大学初の満塁本塁打を被弾した。2回以降は立ち直り、6回4安打4失点と粘ったが、打撃陣が3安打に抑えられ、敗れた。日本は銅メダルをかけて、7日の3位決定戦で韓国と対戦する。また決勝は4連覇を目指す米国とキューバの激突となった。

 西日が残る夕暮れの横浜スタジアムに、乾いた打球音が響き渡った。1回1死満塁、斎藤が投じた初球の129キロフォークを、米国の5番スプリンガーに左中間スタンドに運ばれた。マウンド上でじっと立ちつくす斎藤の前を、大男たちが次々とホームにかえった。

 1回に先制点を奪いながら、過去4大会で6戦全敗の米国に対して、重過ぎる4点を失った。榎本保監督(55=近大)は「斎藤を立てて必勝を期したが、1球の怖さ、甘さ。それを返せなかった打線。チーム全体が責任を感じている」と言った。

 斎藤にとってはリベンジのマウンドだった。08年の世界大学野球選手権(チェコ)は準決勝で完投し、決勝の米国戦は登板できなかった。ベンチから延長12回0-1で敗れる姿を見つめ、甲子園優勝以来の涙を流した。大会前から打倒米国を公言し、大学ラストイヤー最大のテーマに掲げた。それだけに、1回の1球が悔やみ切れなかった。

 試合後、斎藤は会見に現れなかった。榎本監督は涙を流しながら、背景を説明。「監督の僕の判断。4年間ジャパンにいて、今日の試合にかけてきた。同じ野球人としてものすごく熱いものを感じた。(出席を)うながす前に、出せる状況ではないと、私が判断しました」とかばった。

 ネット裏では、巨人長嶋終身名誉監督が初めて斎藤を生観戦した。決勝はソフトバンク王会長が始球式の打席に立つことも決まった。次代の日本を担うエースとして「ONコンビ」の後押しを受けるはずだった。

 2回からは本来の姿を取り戻し、5回1死一、二塁では本塁打を浴びた5番スプリンガーを外角への143キロ直球で空振り三振に切った。6回4失点と粘ったが、打撃陣が3安打と沈黙。試合後のあいさつを終えると、ベンチに座り込む仲間の横を通り、足早にベンチ裏に消えた。【前田祐輔】