打って、打って、打ちまくった。白樺学園が先発全員安打の猛攻で旭川西を打ち破った。7回コールドの大勝で2年連続の準決勝進出を決めた。白樺学園が放った22安打は、春全道大会の1試合チーム最多安打のタイ記録。

 白樺学園のバットが止まらなかった。速攻だった。1回表、先頭打者の川波俊也捕手(3年)が初球をたたき右前打。これを合図に、後続も次々とフルスイングで右へ左へはじき返す。1イニング9安打であっという間に8得点だ。この日最多4連打が飛び出した5回に先発全員安打を記録。7回表にも安打を重ね、終わってみればチーム22安打で大会最多安打記録に並んだ。先制の右前打を放った4番加藤隆舗右翼手(3年)は「自分の1本で勢いがついたのかな。みんなで打って勝ったのがうれしい」と喜んだ。

 積極的攻撃が光った。今大会でバントはこの試合7回1死満塁で仕掛けたスクイズの1度だけ。先頭打者が出塁しても「打て」の指示だ。地区予選打率は3割3分3厘で全道14チーム中10位と高くない。代表決定戦での決勝点もスクイズでもぎ取ったものだった。そこで戸出直樹監督(39)は「バッティングの調子を崩しているので、とにかくバットを振ることで上げていきたい」と「バント禁止令」で果敢に攻めさせ、試合を通して打撃力を上げた。

 相手エース対策も万全だった。1回戦で札幌大谷を完封した軟投派右腕の稲田を想定し、前日の打撃練習では緩い球を打ち続けた。戸出監督自らも打撃投手を買って出て、変化球打ちを意識させた。

 1~8番まで右打者と左打者が交互に並ぶジグザグ打線が相手投手を翻弄(ほんろう)する。甲子園2度出場の戸出監督は「歴代のチームにはもっと長打力のある選手もいたけど、このチームはジグザグだし逆方向に打てるおもしろい打線」と自信を持つ。昨夏は甲子園最有力候補に挙げられながらも北大会初戦敗退。加藤は「夏につながる大会。決勝まで行って優勝したい」と雪辱を誓う。準決勝で駒大苫小牧を倒し、準優勝した11年以来4年ぶりに目指す決勝進出は通過点でしかない。【保坂果那】

 ◆春全道の1試合チーム最多安打 準々決勝の白樺学園-旭川西戦で、白樺学園が先発全員の22安打を放ち、78年東海大四、85年函館大有斗の記録に並んだ。白樺学園は6回表、川波俊也捕手(2年)がこの日4本目の安打を放って記録達成。旭川西も大会史上7本目の満塁本塁打など11安打しており、両チーム合わせて33安打も最多タイ記録となった。