プロ野球って夢を与える職業だな。今年のゴールデンウイークはそう感じた。

ここ数年、アマチュア野球の取材に関わることも多く、「ドラフト候補」と呼ばれていた選手が実際にプロに入る姿を何人も見るようになった。同時にプロ野球の取材もすると、活躍できる選手はごくわずかだなと感じる。

ゴールデンウイーク中に阪神大学リーグの取材機会があった。大体大OBで巨人、メジャーで活躍した上原浩治氏(49=日刊スポーツ評論家)や、関西国際大OBで侍ジャパンの一員としてWBC世界一も経験した巨人大勢(24)ら球界を代表する選手も輩出したリーグだ。

取材日に大学公式戦初の完投勝利を飾ったのが大産大の長友一夢(ひとむ)投手(3年=大阪)だった。最速148キロを投げるスリークオーター右腕。「上投げだと、これくらいの球速はゴロゴロいる。自分の武器をつくろうと考えた時に少し腕を下げて打者が嫌がる投手になりたい」と特徴を生かして嫌がる投手へと成長を続ける。タイガース前田健太投手(36)のスプリットチェンジをYouTubeで研究し、操るまでになった。

同大学から昨年ドラフトで楽天5位指名を受けてプロ入りした松田啄磨投手(22)の2学年下。長友と松田はともに右投げで、同じ時間を過ごした。すでに1軍デビューを果たした松田について「すごいですよね。ここまで1軍で投げてると思わなかった(笑い)。おお、1軍なんや、みたいな感じ」と長友も驚きだった。それと同時に「松田さんとはずっとリーグ戦でも練習でも一緒にやらせていただいていた。頑張ってほしい」と期待を寄せる。

長友自身もプロ入りが目標。松田とは今も連絡を取っており、「自分にとっての希望。プロに行く人が近くにいたら気持ち的にもいい方向にいける。ずっとプロを目指しながらこれからも頑張りたいなと思います」と先輩の背中を追いかけている。

野球教室などでプロ野球選手を近くで見て、「自分も」と思う少年少女も多い。それは大学生も同じ。ともに戦った選手がプロ入りし、1軍で活躍する。その姿を見て、プロ入りを目指して日々努力する。プロ野球選手の影響力は大きいと感じた。【林亮佑】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

大学初の完投勝利をあげた大産大の長友(左)は、仲間とハイタッチ(2024年5月3日撮影)
大学初の完投勝利をあげた大産大の長友(左)は、仲間とハイタッチ(2024年5月3日撮影)