過去の無念は優勝で晴らす-。秋季高校野球東北大会の準決勝は今日14日、青森市営野球場で行われる。一関学院(岩手3位)は13日、青森大の室内練習場で調整した。08年に準優勝しながら、翌09年のセンバツ出場を逃した苦い経験がある。今回は決勝で盛岡大付(岩手1位)と同県対決の可能性もあり、準決勝を勝ち上がっても甲子園切符は流動的。センバツ出場を確実にするためにも、初の東北王者を狙う。

 室内練習場で、選手の動きを見つめながら沼田尚志監督(56)は言った。「7年前を悔やんでも仕方ない。優勝しないとね」。08年決勝で1-7と敗れた八戸学院光星(当時光星学院=青森1位)と、それ以来の再戦となるのが今日14日の準決勝。因縁めいている。

 08年の準優勝で、多くが甲子園を信じて疑わなかった。だが翌09年のセンバツには光星に準決勝で3-6で敗れ、菊池雄星(西武)を擁した花巻東(岩手)が選ばれた。しかも準決勝敗退の利府(宮城)が21世紀枠で切符を手にした。4強入りで選ばれなかったのは一関学院だけ。過去30年をさかのぼっても同県が1、2位を占めた94、96年を除き、準優勝で出場を逃した例は、その1回だけだ。

 当時の無念は選手も知っている。先発が予想されるエース左腕大竹樹希哉(2年)は「監督から聞いています」と話し、斎田拓磨主将(2年)は「優勝して(センバツを)確実にしたい」。初の東北王者を目標にしている。

 06、08年と2度出場のセンバツは、ともに守備力が評価される希望枠。沼田監督は「特別枠じゃなくて、(東北の)2枠で行ければ最高」と言った。今大会はエース大竹が想像以上に成長して、18イニングわずか2失点。「聖光学院、東北に勝ったことがなかった」(同監督)が、その2校を連破した。

 大竹は「県3位ですから失うものはない」と緊張感はない。この日から宿泊先のホテルが変わったが、そんなハンディもはね返す力が、無念を知る今の一関学院にはある。【久野朗】

 ◆08年秋の一関学院 一関地区予選を3戦全勝で制覇。県大会は決勝で花巻東に2-9と完敗し、この試合もセンバツを逃す要因になった。岩手2位で出場した東北大会は初戦(2回戦)の鶴岡東(山形)を1-0、青森山田との準々決勝を7-5で制した。延長14回までもつれ込んだ利府との準決勝は、3-2のサヨナラ勝ち。光星学院との決勝は投手陣が乱れ、1-7で初優勝を逃した。