聖光学院が6-4で日大東北を振り切り、7大会連続12度目の東北大会切符を死守した。夏の福島大会10連覇を目指す絶対王者は、前日22日に磐城に敗れた当日の夜、2時間以上にもわたる大反省会を開き、敗因を洗い直した。先発したエース左腕鈴木拓人投手(3年)が敗戦を引きずることなく、7回0/3で11安打を浴びながら4失点と粘りを見せた。

 悪夢は自分で振り払うしかなかった。前日22日の磐城戦で5失点KOのエース鈴木拓が打たれても打たれても必死に左腕を振った。「昨日は自分のせいで負けた。調子はよくなかったけど気持ちで投げた」。3年連続で夏の決勝で激突した好敵手・日大東北を相手に、6度も先頭を出しながら4失点粘投。斎藤智也監督(52)は「昨日負けて、気持ちの切り替えが難しかったが拓人(鈴木)がよく投げた」と復調の兆しを見せたエースをたたえた。

 前日の大反省会は3時間にわたり白熱した。夜7時半から始まり、選手だけのミーティングが終わったのは午後10時半。斎藤監督は「選手が優しすぎる。打たれた投手にOKOKって声をかけるんだったら話にならない。思いやるならこそ、厳しく叱咤(しった)激励しないと。許すからミスが出る」と振り返った。

 議論は野球に取り組む姿勢にまで波及した。門井泰寿捕手(3年)は「聖光の本来の姿を忘れかけていた。技術うんぬんじゃなくて、全国一のチャレンジャーという気持ちが出せてなかった」と分析。「拓人が必死に投げているのに応えたかった」と6回に左越えソロ本塁打を放ち、気持ちの強さを見せつけた。

 聖光の強さは自校グラウンドに掲げてある「不動心」そのものだ。スキのない強靱(きょうじん)な精神力で勝ち続けてきた。夏10連覇を狙う斎藤監督は「原点に立ち返った。敗戦の経験はこの夏、絶対プラスに変える」と断言した。【高橋洋平】