常総学院(茨城)はエース左腕・鈴木昭汰投手(3年)が明秀学園日立を1-0で下し、3年ぶり夏の甲子園を決めた。

 優勝の瞬間、常総学院のプロ注目左腕・鈴木昭は今までの苦しい思いを一気に晴らすかのように、両手を力いっぱい突き上げた。「魂を込めて投げた」と6安打11奪三振、118球の完封劇を振り返った。

 初回から直球が走った。明秀学園日立の高校通算47発、3番糸野雄星内野手(3年)と、同63発の4番細川成也投手(3年)に対し、1歩も引かなかった。ベンチからは変化球の指示が出ていたが、首を振って直球で押す場面もあった。4回1死一塁のピンチは連続三振、6回1死一、三塁から連続飛球で、1点差を守りきった。

 今春センバツでは鹿児島実に8回4失点を喫し、初戦敗退した。その後は左肩痛で春の県大会の登板を回避。公式戦復帰となった春季関東大会の千葉黎明戦では、4回持たずに降板し、4-14の8回コールド負けを味わった。「投げられずに走るか、投げたら打たれるばかりで、気持ちはどん底だった」と振り返る。

 だが、どん底の期間が鈴木昭の成長を促した。肩を休ませ、足腰を鍛えたことで体重は3キロ減の76キロになり、直球のキレは格段に良くなった。精神的にも、以前より忍耐強くなった。中学時代の恩師、塙博貴氏(現筑波ボーイズ監督)からは「どんな選手でも挫折はある」と言われ、心の余裕が生まれた。焦らず調整させてくれた佐々木力監督(50)には「いつも信頼してくれた」と感謝の気持ちを口にする。

 大一番で成長した姿を見せた。「投げるだけでなく、打って、走れるのが高校野球のエース」と話すように、2回には自ら右前打で出塁すると、ノーサインで盗塁を決め、その後、有村恒太二塁手(3年)の適時二塁打で先制のホームを踏んだ。

 センバツは2度経験しているが、夏は初めて。「今までイメージしかできなかった場所。敗れた人の思いも背負って、ここからが本当の勝負です」と引き締めた。今夏は3試合、計19回(無失点)しか投げておらず、余力は十分だ。03年以来13年ぶり全国制覇に挑む。【高木遊】

 ◆常総学院 1983年(昭58)創立の私立校。創立と同時に野球部が創部。生徒数は1885人(うち女子878人)。主なOBは元巨人仁志敏久氏、日本ハム金子誠コーチ、西武大崎雄太朗ら。所在地は土浦市中村西根1010番地。玉井尚良校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦2―0土浦湖北

3回戦14―2江戸崎総合

4回戦8―3中央

準々決勝8―1常磐大高

準決勝6―2下妻二

決勝1―0明秀学園日立