第98回全国高校野球選手権大会は、作新学院(栃木)の優勝で幕を閉じた。東北勢は聖光学院(福島)の8強が最高位で、今年も悲願の「白河越え」はならなかった。一方、今夏の東北の各チームでは、今後が楽しみな1、2年生の活躍が目立った。彼らにあらためてスポットをあて、これからの成長に期待したい。

 出場した東北6校の2年生打者の中では、盛岡大付(岩手)の植田拓外野手が最大級のインパクトを残した。創志学園(岡山)との2回戦。「松坂2世」と言われた最速154キロ右腕・高田から4回に反撃ソロを左翼席にぶち込んで逆転勝ちを呼び、同校初の大会2勝目をもたらした。3試合で13打数5安打1打点で3番の役割を果たした。「甲子園でホームランを打つのが夢だった。センバツと来年の夏も必ず帰ってきます」と涙を見せずに、毅然(きぜん)と言い放った。

 投手では大曲工(秋田)の背番号「11」右腕・藤井黎来(れいら=2年)の熱投が光った。花咲徳栄(埼玉)との1回戦に先発し8回8安打5失点ながら、181センチ、82キロの恵まれた体格から最速143キロの直球に鋭く落ちるフォークを駆使して7個の三振を奪った。「インコースの直球は通用した。バテたけど球威は落ちなかった。いい舞台を経験させてもらった。先輩たちに恩返しできれば」。甲子園の土を持ち帰らず、涙ながらに語った。来年のドラフト候補としても注目だ。

 横浜(神奈川)に1回戦負けした東北(宮城)からは、杉沢龍内野手と、古川原将真投手の2人の1年生の躍進に期待したい。春の地区大会から「1番遊撃」に定着した早熟の杉沢は、無安打2三振に終わり「全然レベルが違った。速球で押されて踏み込めなかった」と号泣。1回を1安打無失点に抑えたメガネをかけた左腕・古川原は「また戻って来られるように、これから練習を頑張る」と気合十分。残り4回出場できる甲子園に、何回からめられるか。

 鶴岡東(山形)は2年生の2枚看板が存在感を示した。最速145キロ右腕の吉住晴斗は甲子園でも141キロを計測し、1回を打者3人できっちり仕留めた。いなべ総合学園(三重)戦で先発した右横手の小林一輝は、13安打を浴びながらも自責点3と粘った。4度目の8強入りを果たした聖光学院は、いとこで二遊間を組む小泉徹平内野手と瀬川航騎内野手(ともに2年)がチームを引っ張る。