盛岡大付(岩手1位)は4年ぶり4度目のセンバツ出場を確実にした。盛岡大付は盗塁を得点に結び付けて、酒田南(山形2位)を5-4で振り切った。今日19日の決勝で初の優勝を狙う。

 盛岡大付の“足技”が、2季連続の甲子園を確実にした。2-2の7回。2番林一樹外野手、主将の3番比嘉賢伸内野手(ともに2年)の盗塁が勝ち越し点、追加点を生んだ。関口清治監督(39)が言った。「足を絡めた結果が相手を上回れた」。酒田南より打力で劣ると読んだ同監督は「何かプラスアルファを」と果敢に走らせたのだ。

 2回も先頭で出塁した5番大里昂生内野手(2年)が二塁へ走った。けん制で一、二塁間に挟まれたが、思い切りのいいスタートが一塁手の悪送球を誘って進塁。その後、タイムリーで先制のホームを踏んだ。関口監督は、酒田南の1年生エース左腕阿部雄大が「クイックが苦手そうだし、けん制をあまりしない」と分析。俊足選手は多くないが「足が速くないと走れないという概念があって、そうじゃないんだよ」と選手の意識も変えた。

 強打を全国に知らしめた今夏の甲子園。一方で機動力には課題を残し、16強止まりに終わった。2盗塁の比嘉主将は「1つ上の先輩に比べ打力は劣る。それを上回るのには何かしなきゃいけない」と言う。前日17日は約1時間半、この日の朝は約1時間、盗塁練習に費やした。もちろん酒田南対策が目的だが、鶴岡東(山形3位)との初戦(2回戦)では重盗を決めた。大きな武器になりつつある。

 今日19日の仙台育英戦に初優勝、岩手県勢としては83年の大船渡以来33年ぶりの東北王者がかかる。比嘉主将は「優勝を目標にやってきた」と、準決勝突破を通過点と捉える。走れるニュー盛岡大付で、歴史を動かす。【久野朗】