第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が27日、大阪市内で開かれ、群馬から前橋育英と高崎健康福祉大高崎がアベック出場を果たした。前橋育英は6年ぶり2度目、高崎健康福祉大高崎は2年ぶり3度目のセンバツとなる。県勢2校の選出は12年以来4度目で、両校は躍進を誓い合った。組み合わせ抽選会は3月10日に行われる。

 前橋育英はセンバツをにらみ、着々と準備を進めていた。昨秋の関東大会でベスト4入り。春は2回目となる甲子園を確実にしていた。吉報が届いたナインの顔はほころんだが、記念撮影を終えると、すぐ練習に戻った。荒井直樹監督(52)は「13年夏の優勝。あの時はたまたまかも知れない。でも、そういうところを目指さなくてはいけない」と言った。2年生だった高橋光成(現西武)が名をはせ、旋風を起こした再現を狙う。

 スキをなくし、スキをうかがう。この日の練習でも、けん制のサインプレーに引っ掛からないよう帰塁、声出しを徹底して確認。シートノックに入る前には、ボールを使わず各自に試合状況を想像させ、考えて動く練習に多くを割いた。荒井監督は「『この1球』をいつも大切にする。キャッチボールの1球も、甲子園の1球も変わりはない」と強調。「守りが良ければ重圧をかけられる。守りと足。少ないチャンスで粘り強く戦う」と決めている。

 決めていることは、まだある。高崎健康福祉大高崎との県勢アベック出場。一緒に勝ち上がり、かつ、ライバルの上を行く。荒井監督は「我々を高めてくれる相手。一緒に戦える」と喜び、「先に帰ってこないようにする。しっかり準備して勝ち抜く」と誓った。左右の4枚をそろえる投手陣は強力で「背番号1は予想して下さい。まだ悩んでいます」。関東大会でも堅守で粘り、逆転勝ちを続け、キップをつかんだ。骨太の強さを甲子園で示す。【宮下敬至】