第90回全国高校野球選手権大会(8月2日から17日間、甲子園)の南北埼玉大会(7月9日開幕)の組み合わせ抽選会が17日行われた。エースと主砲のブラジル人留学生コンビで初出場を狙う本庄一は北埼玉大会11日に秩父と対戦する。記念大会のため南北にわかれ2校が甲子園に出場する。

 本庄一・奥田ペドロ内野手(2年)が今夏の甲子園にかける思いは半端ではない。本庄一は夏の埼玉県大会で06年4強、07年準優勝と甲子園まであと一歩と迫ってきた。それだけに今夏は期待が高まる。

 攻守の要4番ショートとして、須長三郎監督(51)は「(2年の)今年でも既にドラフト候補になる素質がある」と評価する。中学3年時、ブラジルジュニア選抜で2番を務め、国際大会も戦った。将来のプロ入りを目指して来日し、1年の春は2番サードで8強進出、夏には4番ショートで準優勝だった。50メートル6秒2、両打ちで直球に強く、守備にも定評がある。走攻守そろった選手だ。

 3月にサンパウロにいる母親ローザさん(55)が脳腫瘍(しゅよう)で倒れた。急きょ帰国し、2カ月ほど滞在、春季大会は欠場した。主軸を欠いたチームは県大会1回戦で敗退。手術は成功したものの、また倒れれば生命も危ぶまれるような状況。それでも「母は『日本に戻って頑張りなさい。日本で一番になりなさい』と言ってくれた。だから自分は日本で甲子園を目指す」と戻ってきた。

 夏が近づくほど調子を上げ、最近の練習試合6試合で22打数10安打打率4割5分5厘1本塁打3二塁打11打点と絶好調だ。奥田は母親に絶対に甲子園出場の報告をする、と歯を食いしばっている。

 ◆奥田ペドロ

 1990年(平2)4月20日ブラジルサンパウロ生まれの日系3世。8歳から野球を始める。尊敬する選手はイチロー。趣味は音楽鑑賞で「CPM22」というバンドを好む。右投げ両打ち。握力は右63キロ、左52キロ。179センチ、73キロ、A型。家族は両親と姉2人。

 

 エースの伊藤ディエゴ投手(2年)は、幼なじみの奥田とともに日本に渡った。右腕からの137キロの直球と、スライダー、チェンジアップを武器にする。来日当初は、環境の変化で球速が10キロ落ちた。だが、「休日には(インターネットの)チャットで家族や友人が励ましてくれた」。新しい変化球を覚え、配球を組み立て、バントに対応する。日本の寒さは苦手だというが、得意の夏にうれしい報告をするつもりだ。

 ◆伊藤ディエゴ

 1990年(平2)5月31日ブラジルサンパウロ生まれの日系3世。祖父、父の影響で6歳から野球を始める。ブラジルジュニア選抜でエース。好きな食べ物は焼き肉。右投げ右打ちで、遠投98メートル。178センチ、75キロ、AB型。家族は両親と兄、妹。