第90回全国高校野球選手権(8月2日から、甲子園)の地方大会がいよいよ本格化する。九州・山口地区は29日に開幕する鹿児島大会からスタート。147キロ左腕の宮崎商のエース赤川克紀(3年)、走攻守そろった鎮西(熊本)の立岡宗一郎(3年)らプロ注目の逸材もそろっている。今年の夏の活躍が楽しみな球児を紹介する。

 184センチ、86キロの体から繰り出す直球は最速147キロ。スケールのでかい左腕赤川は、注目度もデッカイ。日本のプロ12球団はもちろん、海を越えた米国からメッツ、マリナーズ、ドジャースも、宮崎の大型左腕をマークしている。

 大塚中時代は本職は一塁手。エースではなく赤川はピンチで登板するリリーフ専門だったが、その投球を見た浜田登監督(40)は「ひじの使い方が柔らかかったので、鍛えたらいい投手になると思いましたね」と大器の予感を感じていた。1年夏から登板し、その秋は35年ぶりに九州大会に出場。初戦で藤村大介(現巨人)ら俊足ぞろいの熊本工と対戦し、敗れたものの終盤まで互角にわたり合い、一躍プロのスカウトの注目を集める存在となった。

 今年の宮崎大会は日南学園の有馬翔、中崎雄太(ともに3年)らプロ注目の左腕がズラリとそろった。「左投手には負けたくないです」と赤川はライバル意識をむき出しにする。昨年は日南学園が一足先に甲子園に出場。有馬が甲子園のマウンドに立った姿をテレビで見た。「正直悔しかったです。今年は日南学園を倒して甲子園に行きたい」。順調に勝ち進めば決勝で実現する対戦を楽しみにしている。

 毎日100~200球を投げ込んで夏に備える。「連投になるので、三振より球数を少なくする投球で勝ち進みたいです」。宮崎の太陽を浴びて大きく育った左腕が、その力を見せるときが来た。【前田泰子】