<センバツ高校野球:大阪桐蔭9-2花巻東>◇21日◇1回戦

 第84回選抜高校野球大会(甲子園)が開幕し、大阪桐蔭の藤浪晋太郎投手(3年)が、12個目の奪三振で初戦突破を決めた。9回2死一、三塁。大量リードは背負っても、最後の143球目まで力を振り絞って、両腕でガッツポーズをつくった。「先に点を取られて、流れを持って行かれたのに打線が打って逆転してくれた。自分は、攻める気持ちを思い出しました」と話した。

 2回、花巻東のエースで4番、大谷翔平投手(3年)との初対決。抜けたスライダーを右中間スタンドに運ばれた。4回も先頭・大谷への四球から2点目を失った。東大阪大柏原に逆転負けした2年夏の大阪大会決勝、天理(奈良)に逆転負けした昨秋の近畿大会準々決勝も、いったん点を失うとずるずる追加点を奪われた。ここ一番でのもろさを克服しなければ、前進はない。試練の展開で、支えになったのはライバルの投球だった。

 「大谷君は得点圏に走者を背負ってもそこから粘り強く投げていた。そういう投球を自分もしなければと思った。冬の練習メニューの中で、あと1つ、あと1本と粘れる練習をしてきたことを思い出しました」。5回からは最速150キロをマークしたストレートに加え、冬に練習したカットボールも要所で使った。5~7回まで完全に抑えた。

 昨年末、西谷浩一監督(42)から「センバツに出ることが出来たら、藤浪の人生を左右する大会になる」と言われた。「素晴らしい投手と投げ合うことは自分を成長させてくれることを知りました」。人生を変える大会が始まった。【堀まどか】