日本学生野球協会が17日、都内の日本野球機構(NPB)でプロ側と協議し、プロ経験者が高校の監督などの指導者になるための規定「中学、高校で2年の教諭歴」を撤廃し、座学によるプロ側、アマ側2度の研修を受ければ資格を認めるという条件緩和案をプロ側に示した。

 甲子園51勝の名将、帝京・前田三夫監督(63)は技術至上主義の加速を懸念した。「プロアマの垣根がなくなるのは、野球界のレベルアップにつながるという点で大いに歓迎します」と前置きしつつ「ただ、高校生は精神的にも体力的にも未熟ですから。どうしても技術だけが先行した場合がね。高校生の期間は、体力を作るのと教育がある。そこがおろそかになるのが心配。プロがすぐに指導できることに悲観はしないけれど、違った野球になってしまう心配がある」と話した。

 高校球児は技術的に優れた「うまい子だけではない」と言い、そこが大きな魅力でもあると強調した。「そういう子も、自分の経験を生かし指導者になる夢を持っている。しかし、プロの第一線でプレーしていた人が来ると、そういう指導者が多くなる。そうなると、夢がなくなる生徒がいることを忘れてはならない。私も大学4年間ずっと補欠でした。それが今、高校生を教える土台になっている。『技術がなくても頑張れ』という話ができる。野球が好きな子の夢を、諦めさせたくない。うまい子を優先することにはしたくない」と話した。