<高校野球春季東北大会:盛岡大付9-0小高工>◇6日◇2回戦◇荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた

 岩手勢がそろって好スタートを切った。今春センバツ出場の盛岡大付は小高工(福島)を7回コールドで下し、8強入りした。プロ注目の主砲・望月直也内野手(3年)が満塁本塁打を放つなど2回に6点を奪い、一気に勝利を引き寄せた。

 打った瞬間、「行ったと思った」。2回表、盛岡大付が1点先制し、なお2死満塁の場面。4番望月は「前の打席より威力がなかった」と狙い定めた高めのスライダーをたたき、悠々と左翼へ運んだ。公式戦では今春センバツ2回戦安田学園(東京)戦以来となるアーチ。甲子園のホームランボールは横浜に住む両親にプレゼントしたが、今回も「親にあげたいと思います」と笑顔で答えた。

 本塁打量産態勢に入っている。公式戦では久々だが、センバツ以降の練習試合では10本。この日で高校通算本塁打を31本まで伸ばした。関口清治監督(36)は「昨日から(バットを)振れてたので。これぐらいやってもらって普通です」。先発した及川豪(3年)は「毎週のように練習試合で打って助けられている」とチームからの信頼も抜群だ。

 好調の秘密は練習にある。自身無安打だったセンバツの敦賀気比戦後、「初心に戻ろう」と基礎に重きを置いた。1回100本以上の素振りを5セット。その合間に腕立て伏せや、ダッシュを挟んで負荷をつけ、振る力を高めた。また力に頼らず芯で捉えることを意識。その結果、以前より力まずリラックスした状態で打てるようになった。バックネット裏で見守った楽天上岡スカウトも「気楽にスイングしてるね」と、変化した主砲を評価した。

 8日の準々決勝は青森山田と当たる。練習試合では5-3と勝っているだけに「持ち前の打撃でしっかり勝ちたい」と望月。「チャンスが好き」と語る4番がバットで勝利に導く。【高場泉穂】