今春センバツ出場の東北が宿敵相手に涙をのんだ。

仙台育英の好投手を前に8回まで散発5安打で無得点に抑えこまれた。それでも、0-4で迎えた9回1死から主将も務める4番・松本叶大外野手(3年)が、「このままでは終われない」と執念の中前打。続く5番・三浦毅大内野手(3年)が右中間へ二塁打。松本は三塁を蹴り、渾身(こんしん)のヘッドスライディングで生還した。「誰ひとり諦めていませんでした。1点取れば逆転できると思っていたので」とガッツポーズで喜びを爆発させた。

だが、反撃は1点止まり。力尽きた。松本の目からは大粒の涙があふれていた。新チームが始まり、秋も春も、決勝で仙台育英に敗れてきた。因縁のライバル相手に“三度目の正直”とはならなかった。「甲子園に戻れない悔しさ、仙台育英さんを超えられない悔しさでいっぱいです」。思いが涙となった。

仲間に恵まれた高校野球生活だった。昨秋から我妻敏監督(44)が指揮官に復帰。前監督の佐藤洋氏は「主体性」を重んじ、頭髪の自由化や練習時のユニホーム着用の義務づけをなくすなど、「エンジョイベースボール」を掲げていた。我妻監督の就任後は、「主体性」を求めることは変えなかったが、「規律」を正すため、あいさつや身だしなみなどの礼儀を徹底させた。

指導方針が変わった中での新チーム始動。「自分たちがやってきたことが全て変わったので、浸透するまでには時間がかかった」と松本。それでも、「甲子園に行きたい」という思いは変わっていなかった。だからこそ、選手間で意見を言い合い、時にはぶつかりながらも全員が同じ方向を向いた状態でこの夏を迎えられた。「みんながいたからこそ甲子園(センバツ)にも行けたと思います。自分1人では絶対にここまで来られませんでした」と仲間への思いを口にした。喜びも、苦しさも、悔しさも経験した2年3カ月。涙を拭って、前へと進む。【木村有優】

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