<高校野球神奈川大会:桐蔭学園8-2舞岡>◇18日◇3回戦◇横浜スタジアム

 「打倒松井」へ好発進だ。神奈川屈指の左腕、桐蔭学園・斉藤大将(ひろまさ)投手(3年)が3番手として今夏初登板し、2回4奪三振。昨夏の決勝で投げ合い、敗れた桐光学園・松井裕樹投手(3年)にリベンジすべく、決勝まで負けるわけにはいかない。

 最後の打者は空振り三振だった。今夏初のマウンドは2回4奪三振無失点。それでも、桐蔭学園・斉藤の表情に変化はない。笑顔もなければ、ガッツポーズもない。「自分の初戦。ここからしっかり(調子を)上げていくことが大事。本当に大事な試合は、ここじゃない」。見据えているのは激戦区の頂上のみ。自身に重圧をかける左腕は、決して隙を見せなかった。

 倒すべき相手は明確だ。桐光学園・松井。昨夏の決勝で対戦し、敗れた。今春の県大会決勝の相手も桐光学園だった。斉藤は完封して、チームを14年ぶりの優勝に導いた。だが、松井は疲労のため登板回避。斉藤は「そこまで満足していません。松井と投げ合いたかった」。快挙達成にも喜びに浸れなかった。

 県を代表する左腕は、常に松井と比較される。しなやかなフォームから140キロ前後の直球とスライダーを武器とする。「投げ合ったのは昨年の決勝と、冬の練習試合の2試合だけ。僕は、あまり意識しないんですが、すごく比較されます。僕の相手は打者なので、チームとして勝てばいい」と多くと語らない。ただ「順調にいけば決勝で当たります」と、ライバル意識は隠さない。

 恩師のためにも松井を倒す。土屋恵三郎監督(59)は今夏限りで勇退する。「今、ここにいるのも監督さんのおかげ。最後なので、何とか甲子園に連れて行きたい」と言い切る。「春より直球の制球がよくなかった」と修正ポイントも見つけた。3度目となる決勝の先発マウンドに立ち、今度こそ、満面の笑みで笑ってみせる。【金子航】

 ◆斉藤大将(さいとう・ひろまさ)1995年(平7)6月3日、東京都出身。兄の影響で5歳から野球を始める。中学時代からスライダー、カーブを操り、昨春にはチェンジアップ、今春はツーシームと、年々投球の幅を広げる。179センチ、74キロ。左投げ左打ち。